ECサイトのKPIとは?ツリーを含めた基礎知識・設定すべき理由を項目別に解説
『ECサイトのKPIとは?』
『よく耳にするけど、設定する必要ってあるの?』
ECサイトの運営を成功させる上で、KPIの設定は必須です。
言い換えれば、KPI設定をしないでECサイトを運営するのは、目標達成の時期が遅くなってしまいます。
今回は、ECサイト運営の成功に欠かせない「KPI」について、基礎知識と設定すべき理由と共にKPIツリーの作り方も解説致します。
コラム記事の最後では、ECサイト運営のセクションごとに設定すべきKPI40項目をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ECサイトのKPIとは?
KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」を意味します。
ECサイトにおけるKPIとは、サイト運営における目標達成に向け、何をどうすべきかを表す指標を指します。
ECサイトを運営する目的は「売上アップ」「ブランドの認知度アップ」など、企業によってさまざまですが、KPIは目標達成に必要な項目を具体化し、各々の項目に沿って細かい目標を設定することです。
たとえば「1年後までに月商1,000万円を目指したい」という目標を立てたとします。
しかし、月商1,000万円達成の目標に向け、スタッフ全員が無計画に実行しようとすることは得策ではありません。
KPIは、月商1,000万円の目標に最短距離で近づくために必要な要素を抽出し、解決すべき課題、強化すべき課題を可視化することです。
KPIの関連用語・KGIとは?
KPIの関連用語として、かならず登場するのが「KGI」です。
KGIとは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「経営目標達成指標」のことを意味します。
前述で例を挙げた「月商1,000万円」とはKGIのことであり、経営の観点から達成すべき目標設定の指標です。
KGIとKPIは、かならずセットで設定すべき指標となります。
KGIがあるからこそのKPIであり、KPIを設定しているからこそKGIの達成を、より効率よく成し遂げられるのです。
KPIツリーを作成
KPIを洗い出したら、KPIツリーを作成してみましょう。
KPIツリーとは、字のごとく木のツリーのように、KGI達成に必要な要素を、一階層ずつ可視化するために作成する図表です。
KPIツリーの作り方は、まずKGIを決め、右にいくほど早期に達成しやすい項目、一番左が達成が遅い、後から付いてくる項目(遅行指標)を記載していきます。
KPIツリーの項目は、かけ算、たし算、わり算、ひき算の「四則演算」が用いりながら作成しましょう。
たとえば「商品購入者数」は「ECサイトへのユーザー数×商品購入率」です。
次に、売上アップに向けて「商品購入率」を上げるための要素を洗い出せば「セッション率」や「注文完了率」をアップさせるべきとなります。
そして「セッション率」と「注文完了率」の2つを比較した場合、セッション率を上げる方法、注文完了率を上げる方法を、右の項目へ追加して細分化しましょう。
精度の高いKPIツリーを作成することで、KGI達成に向けたKPIが整理され、より効率よく目標に近づくことができます。
ECサイトでKPIを設定すべき理由
ECサイトでKPIを設定すべき理由は、以下の5つです。
- 現状の課題・問題点が客観的に分析できる
- 目標達成に向けやるべきことが可視化できる
- 複数の要素を組み合わせた施策が考案できる
- 施策の効果検証がしやすくなる
- 社員・スタッフの士気が上がる
現状の課題・問題点が客観的に分析できる
ECサイトでKPIを設定すべき一番の理由は、現状の課題や問題点が客観的に分析できるかです。
ECサイトの運営は、競合他社の状況や、サイトの露出不足など、さまざまな要因により、想定通りの売上が達成できないことは珍しくありません。
しかし、KGIが達成できなかったからといって『来年こそ気合いを入れて頑張ろう』で終わらせては、達成できなかった原因や、次回以降の課題が不透明なままです。
KPIの設定は、自社が目標に達しなかった原因を冷静に、かつ客観的に分析することができ、効率よく弱点の補強に努めることができます。
目標達成に向けやるべきことが可視化できる
ECサイトでKPIを設定することにより、目標達成に向けてやるべきことが可視化できます。
前述のように、KGIを達成できなかった場合、まず原因の分析と課題の抽出は急務です。
KPIの設定で、項目ごとの問題点、改善策がわかりやすく可視化でき、関係者全員がより具体的に実行に移しやすくなります。
複数の要素を組み合わせた施策が考案できる
ECサイトにおいてKPIを設定することにより、複数の要素を組み合わせた施策が考案しやすくなります。
KGIが達成できなかった原因は、決して1つの要素ではありません。
販売、マーケティング、在庫管理、顧客対応など、さまざまな要素が複雑に絡み合います。
そこで、ECサイトのKPIをセクションごとに細かく設定することで、関係者全員が各々に課された課題に向けて、パフォーマンスを発揮しやすくなるのです。
施策の効果検証がしやすくなる
ECサイトのKPIにより、各施策の効果検証がしやすくなります。
KGIの達成を行うには、試験(テスト)と実践の繰り返しです。
とくにマーケティング部門においては、広告の配信テストを繰り返しながら自社に最適なマーケティング手法にたどり着ける側面があります。
KPIを設定することで、個々の施策の効果を慎重に検証しながら、KGI達成に近づいていくことができます。
社員・スタッフの士気が上がる
ECサイトのKPIは、サイト運営に関わる社員、スタッフの士気を高めることにもつながります。
KPIを設定せず目標達成が叶わなかった場合は、原因が何だったのかが不透明なため、社員やスタッフが自責の念に駆られたり、他人へ責任転嫁したくなる可能性もゼロではありません。
しかし、KPIを設定しておけば、原因、問題点、項目ごとの改善点が明白になり、翌月、翌年以降に何をどうすべきかが明確になることから、現場の社員やスタッフの士気が上がりやすくなります。
ECサイトのKPI項目①【売上・販売編】
ECサイトのKPIでスタンダードな項目が「売上・販売編」です。
売上・販売に関連するKPIは多岐にわたり、マーケティングとも重複する項目も含まれますが、ここでは売上、販売の数値に直結するKPIを10項目に絞ってご紹介します。
売上高・売上総利益
ECサイトの売上・販売の指標を示すうえで重要な数値が、売上高と売上総利益です。
ECサイトの運営に必要な売上高のKPIとは、月単位の月間売上だけでは不十分であり、週単位、日単位はもちろん、時間単位、分単位と細かく知る必要があります。
次に売上総利益とは、売上高から商品原価を差し引いた数値となります。
売上総利益は「純利益」と混同されることがありますが、純利益は営業経費や税金、減価償却など、さまざまな経費を差し引き、会社に残る最終利益のことですので、間違えずに使い分けましょう。
平均注文額・平均利益率
平均注文額とは「AOV(Average Order Value)」とも呼ばれ、ECサイトでの受注1件あたりの平均的な注文金額のことです。
平均注文額は、以下の計算式で割り出すことができます。
平均利益率とは、一定期間における平均利益率のことです。
平均注文額、平均利益率のKPIを知ることで、自社にとって平均より高い単価を落としてくれる顧客はどの経路からの流入か、平均注文額を上げるための施策に役立てることができます。
売上原価(COGS)
売上原価とは「COGS(Cost of goods sold)」とも呼ばれる、商品の仕入れや製造にかかった費用のことです。
ECサイトの売上総利益率を算出する上で、売上原価は必要な指標となります。
トランザクション数
トランザクション数は、注文数のことであり、ユーザーが購入を完了した回数のことです。
たとえば、同じユーザーが1日に2回購入してくれたとすれば、トランザクション数は2になります。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョンとは、英語の「conversion(変化・転換」から由来するマーケティング用語で、ECサイトでは顧客が商品を購入したことを指します。
コンバージョン率とは「CVR(コンバージョンレート)」とも呼ばれ、端的にいえば「購入率」のことです。
CVRを求める計算式は、次のようになります。
CVRは、ECサイト運営で重要なKPIですので、かならず覚えておきましょう。
カゴ落ち率
カゴ落ち率とは、顧客が商品をカートに入れたにも関わらず、購入手続きをせず、ECサイトを離脱してしまった数値のことです。
カゴ落ち率は、次の計算式で求めることができます。
カゴ落ち率は、国内EC市場全体の70%近くに上っているといわれており、ECサイトで売上アップを狙うには、カゴ落ち率をいかになくすかが課題となります。
顧客獲得単価(CPA)
顧客獲得単価とは「CPA(Cost Per Action)」とも呼ばれ、顧客1件からCV(購入)を獲得するためにかかった費用のことです。
顧客1件を獲得するためにかかる費用は、ほぼ広告費用のことを指し、マーケティングと密接に関わりのある指標となります。
顧客獲得費用(CAC)
顧客獲得費用とは「CAC(Customer Acquisition Cost)」とも呼ばれ、顧客獲得単価(CPA)と同様に顧客獲得に必要な費用のことです。
CACとCPAの違いは、CACはサイト全体における顧客獲得単価を指しますが、CPAは資料請求や有料広告など、特定の広告施策ごとに算出する費用となります。
CACは、次の計算式で求めることができます。
CACとCPAはしばしば混同されますが、使う用途の違いがあることを覚えておきましょう。
訪問者1人当たりの売上(RPV)
訪問者1人当たりの売上は「RPV(Revenue Per Visitor)」と呼ばれ、売上額を1訪問者あたりで割り出した数値です。
RPVは、以下の計算式で割り出すことができます。
ECサイトでは、CVRの数値も重要ですが、RPVの数値もかなり重要度が高いため、CVRとRPVのどちらも照らし合わせて分析するようにしましょう。
解約率・キャンセル率
解約率とは、主に定期販売を行っているECサイトでみるべき指標です。
定期販売は、ECサイトの事業主にとって年間の安定した売上が見込める販売方式ですが、顧客のなかには解約する方も多く存在するため、解約率を算出することは必須となります。
キャンセル率も同様で、注文のキャンセル率や原因を分析することで、キャンセル率をできる限り減らすための施策に役立てることができます。
マイナス項目こそKGI達成に早期に近づくための要素となりますので、謙虚に、かつ冷静に分析しましょう。
ECサイトのKPI項目②【マーケティング編】
インターネット媒体であるECサイトでは、マーケティングの要素が占める割合も低くありません。
ここでは、ECサイトのマーケティングに必要なKPIを10個にまとめて、ご紹介いたします。
PV・UU
PVとは「Page View」の略であり、サイトの閲覧数です。
ECサイトで売上を上げるには、まずサイトにアクセスしてもらうのが基本なので、一般的にはPV数と売上はある程度比例するといわれています。
UUは「Unique User」の略であり、PVとよく混同されますが、特定の期間内にサイトに訪れた訪問者数を指します。
PVはどのような経緯であっても、サイトに入った時点で1カウントになりますが、UUはユーザーのIPアドレスなど、個人を特定して識別されます。
つまり、UUは同じ人物がサイトに入ったとカウントされるため、顧客数とある程度比例することになります。
滞在時間
滞在時間とは、ユーザーがサイトに留まってくれている時間です。
ECサイトでは「滞在時間が短い=顧客がECサイトの商品に興味がなかった」「滞在時間が長い=ECサイトの商品に興味がある、購入手続きをしている」とみなされるため、滞在時間の長さは重要な指標となります。
直帰率
直帰率とは、最初にアクセスしたWebページからそのまま離脱した割合です。
基本的には、直帰率が高いほど、顧客がWebページに興味を持ってくれなかったことを意味しますので、極力減らすことが求められます。
トラフィックソース
トラフィックソースとは、ユーザーがサイトへ流入した経緯を示したものです。
検索エンジン(Google)を使ったオーガニック検索、SNS、有料広告など、ユーザーがどこからサイトに入ってきたかを知ることは、集客の費用対効果を知る上で貴重な資料となります。
メール開封率・クリック率
メール開封率は、顧客に配信したメールの開封率です。
メールクリック率は、メールに貼り付けたリンクをクリックした割合です。
一般的には、会員に配信する「メルマガ(メールマガジン)」の開封率、クリック率を指します。
新規ユーザー・リピーター比
新規ユーザーとリピーター比とは、サイトに訪れるユーザーに対し、新規とリピーターの割合を比較したものです。
一般的には、リピーターが多ければ運営としては安定していることになりますが、運用歴の浅いサイトの場合は新規ユーザーを獲得することから始める必要があります。
時間帯モニタリング
時間帯モニタリングとは、ユーザーの流入がピークに達する時間帯の調査です。
曜日ごとや、時間ごと、サイトと関連のあるテレビ番組の終了後など、ユーザーがどのようなタイミングでサイトを訪問してきているかは、サイトのマーケティング戦略で貴重な資料となります。
メール購読解除数
メール購読解除数は、会員のメルマガ購読を解除した割合です。
メルマガ解除は、会員の権利であるため致し方がありませんが、サイト運営側にとっては商品案内を配信できる対象が減ってしまうため、マイナス要素となります。
会員がメール購読を解除するにはかならず理由がありますので、できる限りメルマガ解除を防止できるための施策を考案しましょう。
アフィリエイト業績比
アフィリエイトとは、成果報酬型広告のことです。
アフィリエイト業績比とは、サイト全体の業績に対し、アフィリエイト経由で発生した成果の割合を示したものです。
アフィリエイトは完全成果報酬のため、うまく活用すればサイト運営者にメリットが多いと受け取られがちです。
しかし、アフィリエイトの報酬を上げすぎるとサイトの利益率が下がるため、総体的なバランスを考慮することが肝心となります。
有料広告クリック率
有料広告クリック率とは、検索エンジンやSNSなどに広告費用を投じて配信した広告に対するクリック率です。
ECサイトの有料広告としては、ディスプレイ広告や、リスティング広告、Instagram、Facebookを使った広告が多く見受けられます。
ECサイトのKPI項目③【在庫管理編】
商品を販売しているECサイトでは、在庫管理に関連するKPIの設定も欠かせない要素です。
ECサイトの在庫管理に関連するKPI項目を、7つに絞ってご紹介致します。
在庫数
在庫数とは、主にECサイトに登録している在庫数のことです。
ただし、実店舗など「オムニチャネル化」を実践している企業は、ECと実店舗、どちらの在庫数もKPIの項目に含めておきましょう。
在庫欠品率
在庫欠品率とは、顧客からの注文に対し、欠品で購入にいたらなかった割合を指します。
総注文数に対し、欠品で購入成立にいたらなかった割合を算出し、欠品率をできる限り減らしていく施策を練りましょう。
在庫保管コスト
在庫保管コストとは、在庫を保管しておくために必要な費用のことです。
物流倉庫の費用、人件費、ピッキング、棚卸費用など、在庫の保管に関わる全ての費用を含めて算出します。
在庫回転率
在庫回転率とは、一定期間に在庫がどのぐらい回転したか、入れ替わったのかを示す割合です。
ECサイトにおける在庫回転率は1か月ごとに限らず、週単位など細かい期間で計測し、資金の回転率を上げるためにも、不良在庫率を極力減らしていきましょう。
在庫販売平均日数
在庫販売平均日数とは、在庫が販売されるまでに費やした平均日数のことです。
たとえば、商品Aの在庫販売平均日数は1か月、商品Bの在庫販売平均日数が6か月の場合、商品Aをたくさん仕入れると在庫回転率が高くなり、在庫の保管コストも削減できます。
在庫販売平均日数は、仕入れや在庫管理の無駄を省く上で重要な資料になりますので、なるべくこまめにチェックするようにしましょう。
バック・オーダー率
バック・オーダー率とは、注文を受けているにも関わらず、在庫の引き当てができず、納品待ちになっている割合のことです。
ECサイトで人気店になるには、商品ラインナップと価格だけではなく、スピードも重要な要素となります。
バック・オーダー率は、多ければ多いほど、注文キャンセル率につながりますので、割合を分析し、極力削減できるための施策を打ちだしましょう。
商品投下資本粗利益率(GMROI)
商品投下資本粗利益率とは「GMROI(Gross Margin Return On Inventory Investments)」の略称で、商品に投下した費用に対し、どのぐらいの利益があったのかを示す割合です。
GMROIの計算式は、次のようになります。
GMROIが高いほど、儲かっているサイトということになるため、売上高や売上総利益率だけでなく、GMROIを上げていくことを狙っていきましょう。
ECサイトのKPI項目④【カスタマーサポート編】
ECサイトは顧客商売である以上、顧客対応(カスタマーサポート)の品質が重要であることを忘れてはなりません。
ここでは、ECサイトのカスタマーサポートに必要なKPIを7つご紹介致します。
顧客満足度
顧客満足度とは、字のごとく、顧客からの満足度の指標です。
顧客満足度の算出方法は、主に商品を購入した顧客の評価、レビューによって算出されます。
ネットプロモータースコア
ネットプロモータースコアとは「NPS(Net Promoter Score)」とも呼ばれ、顧客ロイヤリティを推し量る指標の1つです。
顧客満足度とも似ていますが、ネットプロモータースコアは、特定の企業の商品やサービスを友人や知人に薦めたくなるかなど、総合的な満足度や評価を意味します。
ヒット率
ヒット率とは、1つの商品に対し、カスタマーセンターに問合せをしてきた顧客数の値です。
カスタマーセンターの対応時間やコストを削減するには、ヒット率をいかに減らすかが課題となります。
Eメール数・チャット数
Eメール数・チャット数は、カスタマーセンターにメールやチャットで問合せのあった件数です。
問合せがあるということは、顧客が商品に興味をもっていることになりますが、できる限り基本的な情報は商品ページに記載し、削減できることが理想といえます。
エスカレーション率
カスタマーサポートのエスカレーションとは、最初に対応したスタッフで判断できないことを、上司や管理者に相談をすることです。
エスカレーション率は、一次対応したスタッフが上司、管理者に相談した件数を指します。
エスカレーション率が高いということは、ユーザーからのクレームや、イレギュラーな問合せが多いことを意味するため、効率を考えれば、なるべく低いに越したことはありません。
平均解決時間・回数
平均解決時間とは、顧客からの問合せ、あるいはクレーム対し、カスタマーセンターが解決にいたるまでの平均対応時間です。
平均解決回数とは、同じく顧客からの問い合わせやクレームに、おおよそ何回のやり取りで解決にいたったのかを測る指標となります。
一時応答までの平均時間
一時応答までの平均時間とは、顧客からのファーストコンタクトに対し、どのぐらいの時間でスタッフが対応可能になったのかを測る指標です。
一時応答までの平均時間が長いということは、顧客を待たせていることを意味しますので、顧客に気持ちよく買い物してもらうにも、短くするに越したことはありません。
ECサイトのKPI項目⑤【マネージメント編】
最後は、ECサイト運営の根幹に関わる「マネージメント」編です。
ここでは、ECサイト運営管理者が設定するべき「KPI」を5つご紹介します。
実働時間
実働時間とは、サイト運営に関わる社員やスタッフが実質稼働している時間のことです。
昼休みや休憩を除外し、関係者がサイト運営業務に携わっている時間を指します。
予算割り当て
予算割り当てとは、サイト運営に関わる予算がどれだけ使われたのかを示す指標です。
予算が事前計画通りに進行しているのか、予算超過が起こっているのかは運営管理者にとっては欠かせない要素のため、少なくとも月ごとに状況を把握しておきましょう。
投資収益率
投資収益率とは「Return on investment(ROI)」とも呼ばれ、商品投下資本粗利益率(GMROI)と同様に、投資した金額に対し、どのぐらいの利益があったのかを示す割合です。
ROIの計算式は、次のようになります。
ROIが高いほど順調に運営が回っているサイトということになるため、運営管理者にとって重要な数値となることを念頭に入れておきましょう。
コスト差異
コスト差異とは、事前に予測したコストと実際に費やしたコストの差のことです。
事前に設定した予算やコストに開きがある場合は、どの部分の支出に問題があったのか、どこに投資するべきだったかを総合的に見直す必要があるでしょう。
コストパフォーマンス指標(CPI)
コストパフォーマンス指標とは(CPI=Cost performance index)と呼ばれ、投資収益率(ROI)と同様、投下した資本に対し、どれだけ利益が上がったかを示す指標です。
ただし、コストパフォーマンス指標は一般用語の「コスパ」と同様に、投資した資本と利益に対する価値の割合を示したものです。
CPIは、広告の費用対効果を示す割合としても用いられることがありますので、用途に応じて使い分けましょう。
まとめ
今回は、ECサイトのKPIについて、基礎知識、設定すべき理由、項目ごとのKPIについてお話させて頂きました。
まとめますと、ECサイトのKPIとは、サイト運営における目標達成に向け、何をどうすべきかを表す指標のことです。
KPIの関連用語である、KGIは大軸の目標達成の指標であり、KPIはKGIを達成するために細かく設定する指標を指します。
- ECサイトでKPIを設定すべき理由は、以下の5つです。
- 現状の課題・問題点が客観的に分析できる
- 目標達成に向けやるべきことが可視化できる
- 複数の要素を組み合わせた施策が考案できる
- 施策の効果検証がしやすくなる
- 社員・スタッフの士気が上がる
ECサイトの運営で設定すべきKPIの項目は、次のようになります。
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KPI項目 | |
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売上・販売編 | ・売上高・売上総利益 ・平均注文額・平均利益率 ・売上原価(COGS) ・トランザクション数 ・コンバージョン率(CV) ・カゴ落ち率 ・顧客獲得単価(CPA) ・顧客獲得費用(CAC) ・解約率・キャンセル率 ・訪問者1人当たりの売上(RPV) |
マーケティング編 | ・PV・UU ・滞在時間 ・直帰率 ・トラフィックソース ・メール開封率・クリック率 ・新規ユーザー・リピーター比 ・時間帯モニタリング ・メール購読解除数 ・アフィリエイト業績比 ・有料広告クリック率 |
在庫管理編 | ・在庫数 ・在庫欠品率 ・在庫保管コスト ・在庫回転率 ・商品投下資本粗利益率(GMROI) ・在庫販売平均日数 ・バック・オーダー率 |
カスタマーサポート編 | ・顧客満足度 ・ネットプロモータースコアNPS ・ヒット率 ・Eメール数・チャット数 ・エスカレーション率 ・平均解決時間・回数 ・一時応答までの平均時間 ・問題の分類化 |
マネージメント編 | ・実働時間 ・予算割り当て ・投資収益率(ROI) ・コスト差異 ・コストパフォーマンス指標(CPI) |
KPIは、自社ECサイトの運営を確実に成功に導く上で、なくてはならない重要な指標です。
まずは、KGIとKPIを設定し、本記事冒頭にご紹介したKPIツリーを作成して、KGI達成のために関係者全員でやるべきことを共有しましょう。
まずは無料でご相談ください。
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