単品通販とは?ビジネスモデル・総合通販との違い・売上アップの施策と成功事例も解説
『単品通販とは?』
『総合通販との違いは?』
近頃、特に耳にする機会が増えた用語に「単品通販」があります。
なんとなくわかるものの、明確に言葉の意味を説明できる人は多くありません。
単品通販は別名「DtoC」とも呼ばれることがあり、近年大注目されているビジネスモデルなのです。
今回は、今さら人に聞けない「単品通販」について、ビジネスモデルなどの基礎知識、総合通販との違い、売上アップの施策などを成功事例も踏まえて解説致します。
単品通販とは?
単品通販とは、1種類の商品、あるいは1つのブランドに限定して販売を行うECサイトのことです。
たとえば、1つのECサイトで同じブランドの化粧品、洗顔、クリームなど、さまざまなアイテムを販売する形式も単品通販に含まれます。
単品通販は、生産者から一般消費者への直販型が多く、別名「DtoC(生産者Direct to消費者 Consumer)」とも呼ばれることがあります。
単品通販は、近年EC業界で注目されているビジネスモデルです。
特徴・ビジネスモデル
単品通販の特徴・ビジネスモデルは、次の5つです。
- 取り扱い商品は1種類・1ブランド
- 特定のターゲット層にアプローチ
- 送料・配送手段の選択肢が少ない
- リピート客を獲得しやすい
- 認知度が低い・オリジナル商品が多い
取り扱い商品は1種類・1ブランド
単品通販の一番の特徴は、取り扱い商品やブランドが1つであるという点です。
さまざまなジャンルの商品や、ブランドが混ざっているようなコンテンツは、単品通販に該当せず「総合通販」と呼ばれます。
特定のターゲット層にアプローチ
単品通販は、特定のターゲット層にアプローチするビジネスモデルです。
自社の商品を継続的に使ってくれそうなペルソナ(販売ターゲットの人物像)を明確に設定し、ペルソナに響くプロモーション方法を行います。
送料・配送手段の選択肢が少ない
単品通販は総合通販と比べると、送料や配送手段の選択肢が少ない傾向にあります。
単品通販は、商品の魅力を前面に押し出すビジネスモデルのため、顧客が購入を極力迷わないよう、送料や配送手段をなるべくシンプルにするのが鉄則だからです。
リピート客を獲得しやすい
単品通販は「リピート客を獲得しやすい」側面があります。
単品通販は別名「単品リピート通販」とも呼ばれます。
単品リピート通販とは、同じユーザーに繰り返し商品を購入してもらい、定期的に安定した売上を確保していく、近年注目されている「サブスクリプション型」のビジネスモデルです。
単品リピート通販は、字のごとく定期的に「リピート」しやすい商品でなければならないため、化粧品や健康食品などの「消耗品」を扱う企業の参入が多く見受けられます。
認知度が低い・オリジナル商品が多い
単品通販で取り扱いされる商品は、世間での認知度が低い、オリジナル商品が多く見受けられます。
単品通販は、特定の商品やブランドの魅力を力強く訴求するコンテンツであるため、競合他社と比較されることのない単品通販のビジネスモデルとマッチしているのです。
市場規模
単品通販の市場規模は、確実に伸びています。
日本における単品通販(DtoC市場)の歴史はまだ浅く、DtoCに限定した官公庁の正確なデータはありません。
しかし、経済産業省が発表している「電子商取引に関する市場調査」内にあるEC化率の統計により、おおよその市場規模の予測が可能です。
国内企業のEC化率は、コロナ禍の影響もあり、2019年から2020年にかけては6.76%→8.08%まで上昇しています。
ところが、単品通販の多い化粧品や健康食品、医薬品のEC化率は6.00%→6.72%とわずかな伸び率しかありません。
言い換えれば、単品通販(DtoC)のビジネスモデルが浸透している化粧品や健康食品、医薬品業界におけるEC参入は、まだまだ余地があるという見方ができます。
一方、DtoC市場の先進国であるアメリカの市場規模は、急激な伸び率を見せています。
出典:US Direct-to-Consumer Ecommerce Sales Will Rise to Nearly $18 Billion in 2020
ニューヨークに拠点を置く市場調査会社の「eMarketer」によると、アメリカにおける2019 年のDtoC 売上高は 14.28 億ドル(日本円で約1兆6,000億円)、2021年には21.15億ドル(日本円で約2兆4000億円)に達する見込みです。
単品通販と総合通販の違い
単品通販と、反対のビジネスモデルに「総合通販」があります。
単品通販との違いを紹介するために、総合通販の特徴を5つご紹介します。
- 商品点数が必須
- 不特定多数の購買層にアプローチ
- 送料・配送手段が多い
- 新規購入率が高い
- すでに認知されている商品が多い
商品点数が必須
総合通販は、とにかく商品点数をそろえることが必須となります。
総合通販は単品通販のビジネスモデルとことなり、1つの商品に固執せず「あそこに行けばなんでも集まる」といった、商品ラインナップの多さにより集客を行う特性をもつからです。
不特定多数の購買層にアプローチ
総合通販は、不特定多数の購買層にアプローチを行います。
商品点数の多さがウリの総合通販は、単品通販のように特定のターゲットに絞っていては売上が限られてしまうため、あらゆる間口からECサイトへの流入を狙います。
送料・配送手段が多い
総合通販では、送料や配送手段を、なるべく多くそろえておかなければなりません。
さまざまなジャンルの商品、ユーザー層を拾うには「送料の安さが優先、」「安全性とスピードが優先」など、さまざまな顧客ニーズにあった配送手段を用意しておく必要があるためです。
新規購入率が高い
総合通販は単品通販と比べ、新規購入率が自ずと高くなりやすい側面をもちます。
商品ラインナップが多い総合通販は、自ずと商品名のキーワードが多くなり、自然検索から流入する新規客の割合が高くなるからです。
すでに認知されている商品が多い
総合通販で取り扱われる商品は、すでに世間に認知されている商品が多く見受けられます。
商品点数と価格ありきの総合通販は、特定の商品の訴求に固執することは非効率であるからです。
総合通販では家電、本、日用雑貨など、商品を使ったレビューはあまり必要なく、画像とテキストの情報だけで、商品の中身が特定しやすいジャンルがマッチしやすい傾向にあります。
単品通販のメリット・デメリット
単品通販のメリット・デメリットをご紹介していきます。
メリット
単品通販のメリットは、次の5点です。
- 商品点数を多く用意しなくていい
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単品通販は、商品点数を多く用意しないことが最大のメリットです。
総合通販は一定の商品点数をそろえなければ、集客しづらく、競合他社に太刀打ちできません。
一方、単品通販は商品さえ魅力的であれば、たとえ100個程度しか在庫がなくても、即販売ができます。
- 新規参入のハードルが低い
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単品通販は、新規参入ハードルが低いビジネスモデルです。
商品点数が必須の総合通販では、さまざまな商品を仕入れるための資本力や、取り扱い商品分の仕入れルートが必須になるため、参入できるのは一定の要件を満たした企業に限定されます。
単品通販は、1種類の商品在庫さえ確保すれば、すぐに始められるため、複数の仕入れルートを開拓する必要もなく、資本力の少ない小規模事業者でも比較的参入しやすいといえるでしょう。
- 価格競争に巻き込まれない
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単品通販は「価格競争に巻き込まれない」ことも大きなメリットです。
近年、総合通販系のECサイトにおける価格競争は一層激化しており、同じ商品なら1円でも安いショップばかりに注文が集中し、価格競争に勝てないショップは売上を伸ばしづらい傾向が強まっています。
一方、オリジナル商品がメインの単品通販では、そもそも他社と価格を比較される対象になりづらく、価格検索でヒットする確率も低いことから、総合通販のように熾烈な価格競争に巻き込まれる心配がありません。
- 安定した売上が見込みやすい
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単品通販は、安定した売上が見込みやすいメリットがあります。
総合通販は、価格や送料条件など、コストメリットを重視して購入を決断する新規客の割合が多いため、安定した売上が見込みづらいことがあります。
単品通販は定期購入などリピート客が大半を占めるため、年間を通して安定した売上が見込みやすいビジネスモデルと言えるでしょう。
- 在庫管理の手間が少ない
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単品通販は、在庫管理の手間が少ないのも特徴です。
総合通販は、とにかく商品点数を増やす必要があることから、在庫数や管理の手間がかかることは避けられません。
単品通販は、在庫管理も1種類、1ブランドの商品だけで済みますので、在庫管理や倉庫費用など、サイト運営にかかる固定経費が大幅に削減できます。
デメリット
単品通販にはメリットがある一方、デメリットもあります。
単品通販のデメリットは、次の5点です。
- 客単価アップが狙いにくい
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単品通販は、客単価アップが狙いにくいのも事実です。
総合通販は「1万円以上の購入なら送料無料」など、送料メリットを前提に、不自然なく客単価アップを狙うことができます。
しかし、1種類、1ブランドの商品しかない単品通販では、顧客が選べる商品の選択肢が狭く、客単価アップを狙う上での施策作りに限界があります。
- 認知度アップに時間がかかる
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単品通販は、商品の認知度アップに時間がかかることを、認識しておかなければなりません。
総合通販は「商品点数の多さ」と「顧客流入数」がある程度比例することになります。
しかし、言い換えると、商品数さえ揃えれば早期に大きな売上を叩きだすことも可能です。
単品通販は、商品の存在自体が知られていなければ、商品検索すらされないため、商品が世の中に認知されるまでに時間がかかることを考慮し、事業計画を練る必要があるでしょう。
- プロモーション費用がかかる
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単品通販を成功させるには、ある程度のプロモーション費用を覚悟しておく必要があります。
商品点数の多さがウリの総合通販は、すでに一般に認知されている商品ラインナップが多いことから、商品点数の多さ自体がプロモーション費用といえなくもありません。
しかし、オリジナル商品が多い単品通販の初期段階は、商品の認知度が低いことから、まずは商品の存在を世に知ってもらうためのプロモーション費用が必須となるでしょう。
- リスクが高い
-
単品通販は総合通販と比べると「リスクが高めのビジネス」ともいえます。
総合通販では、仮に商品Aの売れ行きが悪くても、商品Bの売れ行きでカバーできるといった具合に、リスク分散を行うことが可能です。
しかし、単品通販では主力商品が全く売れなければ、ECサイトからの売上も見込めないため、最悪の場合、事業の存続自体が危ぶまれる可能性もあります。
- 販売ターゲットが限定される
-
単品通販は、主力商品だけの販売ターゲットに絞られてしまいます。
総合通販は商品点数の数だけ販売ターゲットが存在しますが、販売ターゲット層が狭い単品通販では、狙える売上の頂点も限られることになります。
単品通販の始め方
単品通販の始め方は、次の7つのステップを踏まえることです。
- 商品・ペルソナを決める
- ECサイトの構築方法を選定
- 商品撮影
- LP制作
- 決済・配送方法の準備
- プロモーション
- 販売開始
【ステップ①】商品・ペルソナを決める
まず、単品通販で販売する商品とペルソナ(販売ターゲットの人物像)を決めます。
1種類、1ブランドだけで市場参入を狙う単品通販では、商品やブランドの魅力こそがビジネスの明暗を分けるといっても過言ではありません。
自社がターゲットとしたいペルソナをなるべく具体的に想定し、ペルソナに響く商品開発を行う必要があります。
一方、すでに自社オリジナル商品をもつ事業者は、ステップ①は省けるという認識になりがちですが、そもそも自社のオリジナル商品が単品通販で始めるのがベストなのか、まず検討しなければなりません。
単品通販は、ユーザーが定期的にリピートしやすい消耗品がマッチしやすく、家具や家電、雑貨など、頻繫に買い替える必要がない商品は不向きです。
自社オリジナル商品の特性をよく踏まえ、本当に単品通販で売るとこが得策なのか、しっかりと検証してから実践しましょう。
【ステップ②】ECサイト構築方法を選定
2番目に、ECサイトの構築方法を選定します。
単品通販用のECサイト構築方法には、次のような選択肢があります。
- モールに出店
- ASP型カートシステム
- ECパッケージ
- オープンソース
モールに出店とは、楽天市場やAmazonなどの大手ショッピングECモールへの出店を指します。
ショッピングECモールは、総合通販向きチャネルとしての印象が濃厚ですが、ショッピングECモールにも、単品通販で売上を立てている事業者は数多く存在します。
たとえば、楽天市場ではグルメジャンルの単品通販が好調です。
自社で単品通販用のECサイトを構築する場合は、単品リピート通販に対応するASP型カートシステム、ECパッケージ、オープンソースなどを使うことで、ECサイトの構築にかかる期間と費用を大幅に短縮できます。
【ステップ③】商品撮影
3番目は、商品撮影です。
単品通販では「画像の質」こそが、ビジネスの明暗を分けるほど大事な要素の一つです。
総合通販では、1つの商品、ブランドの販売に労力とコストはかけられないため、商品画像は仕入れ先から提供してもらうか、社内撮影で対応しているケースが多く見受けられます。
しかし、販売する商品の種類が限られている単品通販では、主力商品の魅力を伝えることが生命線のため、多少コストをかけてもプロに商品撮影を委託し、画像のクオリティにとことんこだわる方がベストです。
近頃では、EC向けの商品撮影を低コストで引き受ける代行業者はたくさん存在しますので、いくつかの業者にアサインし、誰もが買いたくなる魅力的な商品画像を制作しましょう。
【ステップ④】LP制作
4番目に、単品通販用のLP(ランディングページ)を制作します。
LPとは、検索エンジンやWeb広告、SNSなどから流入してきたユーザーが最初に着地するWebページのことです。
また、LPは申し込みや問い合わせなどのアクションを誘導する、商品・サービスに特化したWebページの意味合いもあります。
大手ショッピングECモールや、ASP型カートシステムを使う場合は、サービス事業者が用意したフォーマットにテキストと画像をあてはめるだけで、かんたんにECサイト制作が可能です。
しかし、ハイエンドな単品通販サイトを構築するなら、カスタマイズや拡張性が高いECパッケージを使ってECサイトの制作をおすすめします。
社内にWebの専門知識のある担当者がいる場合は、無料でインストールできるオープンソースCMSを使って制作を行う選択肢もあります。
社内でWebの専門家がいない場合は、単品通販用のLP制作を得意とする外部のWeb制作業者に委託することを検討しましょう。
関連記事
LPの特徴や作り方などは、以下のコラム記事で解説中です。
・LP(ランディングページ)とは【特徴・HPとの違い・メリットなどを紹介】
・LP(ランディングページ)の作り方ガイド【ツール・制作会社別に徹底解説】
【ステップ⑤】決済・配送方法の準備
5番目は、決済や配送方法の準備です。
単品通販では、クレジットカード、コンビニ決済、代引きなどの決済手段が主流になりますが、他にも必ず実装しておくべき決済手段は「後払い」です。
オリジナル商品が多い単品通販では、商品の認知度の低さもさることながら、運営会社の信頼度も、ユーザーが購入を迷う原因につながりやすい要素となります。
そのため、単品通販のユーザーは、実際の商品を確認した上で支払いたいというニーズが高く、販売機会損失を防ぐ上でも「後払い」を導入しておく方が得策です。
次の単品通販による配送方法では、総合通販のように様々な配送方法を用意しておく必要はありません。
ただし、とにかく商品を安全に顧客に届けることを優先に配送業者を選ぶようにしましょう。
関連記事
ECサイト(ネットショップ)における決済方法や配送方法については、以下のコラム記事に詳しく解説しています。
・ECサイトで導入すべき決済システムとは?選び方・おすすめ代行サービス6選もご紹介
・ネットショップの配送方法とおすすめ業者16選|種類・流れ・選び方
【ステップ⑥】プロモーション
6番目は、プロモーションです。
プロモーションは、自社商品のペルソナにあった方法を考案しなければなりません。
単品通販のプロモーション方法は、Googleによる自然検索よりも、SNSやメルマガ、アフィリエイト広告などを活用し、実際に商品を使った人の感想をなるべく多く掲載することに主軸を置くべきです。
予算が許すなら、商品の存在が世に全く知られていない初期段階は、芸能人や著名人などのインフルエンサーを使ったプロモーション方法も効果的です。
【ステップ⑦】販売開始
単品通販のサイト制作が完了したら、いよいよ販売開始となります。
パソコンやスマートフォンなど、いくつかのデバイスを使って、注文処理が正常に行われるか、何度も実験してみましょう。
まずは、初回数量を限定し、テスト販売を経て、本番の販売に移行するように、段階を踏んで着実にすすめていきましょう。
単品通販を始めるときの注意点
単品通販を始めるときの注意点は以下の5つです。
- ファーストビューにこだわる
- 外部リンクを減らす
- CVボタンを挿入しすぎない
- 無理に定期購入させない
- 会社情報・広告文責を必ず記載
ファーストビューにこだわる
単品通販では、いわゆる「ファーストビュー」にこだわることが必須となります。
ファーストビューとは、Webサイトに訪れたユーザーが最初に目にする画面のことです。
総合通販では、ユーザーが商品の特性をすでに知っている商品ラインナップが多いため、過剰にファーストビューにこだわる必要はありません。
しかし、世間に認知度の低い商品が主力である単品通販では、顧客がECサイトに入った瞬間に目にするWebページの品質が悪いと、たちまちサイトを離脱されてしまう可能性が上がります。
単品通販のファーストビューの画面は、できる限り文字やテキスト情報を少なくし、画像やWebページデザインの質を高めるようにしましょう。
外部リンクを減らす
単品通販では、外部リンクの挿入を極力減らすように意識しなければなりません。
他社と比較した場合の価格メリットで勝負しない単品通販では、外部リンクを貼ってしまうと、顧客がリンク先に離脱したまま、自社のECサイトに戻ってきてくれる確率が下がるからです。
本来であれば、商品の信頼性を説明する上で、公的機関の外部リンクなど貼っておくと説得力が高まりますが、サイト離脱のリスクを踏まえ、できる限り外部リンクを貼らずに商品の特性や信頼性を伝えるようなWebページ作りを心がけましょう。
CVボタンを挿入しすぎない
単品通販のページ上では、CV(コンバージョン)ボタンを挿入しすぎないことも肝心です。
CVとは「成果」のことであり、通販では顧客が商品の購入を行ってくれることを指し、LP上では「お申込みはこちら」などと書かれたボタンのことを意味します。
Webページ上にCVボタンが多すぎると「購入を急かしている」や「押し付けがましい」という印象に受け止められ、ユーザーが購買意欲を失うきっかけにつながりかねません。
CVボタンの適切な挿入方法には様々な意見がありますが、一般的にはページの1/3目部分~中盤に1つ、最後に1つの合計2箇所ほどが推奨されています。
無理に定期購入させない
単品通販のオペレーションで最も気をつけるべきことは、無理に定期購入させようとしないことです。
悪質な化粧品や健康食品事業者の単品通販サイトのなかには、定期購入のことを大きく記載せず、ユーザーが意図しない内に自動的に定期購入に誘導するケースも少なくありません。
近年では、単品通販の定期購入を巡るトラブルが相次いでおり、消費者庁も注意勧告を促していることから、悪質とみなされた事業者は刑事処罰の対象になることもあります。
ユーザーとのトラブルを避けて、単品通販のビジネスを健全に長く運営するためにも、ECサイト上には必ず購入条件を明確に表示し、無理に定期購入にもっていくような営業手法は避けるようにしましょう。
会社情報・広告文責を必ず記載
単品通販サイトには、会社情報や広告文責を記載することも忘れてはなりません。
世間に認知度の低い商品の取り扱いが中心となる単品通販は、ユーザーからの信頼獲得が得にくいハンデがあります。
ユーザー側に購買前の不安を少しでも取り除き、購買に踏み切ってもらうためにも、運営者の素性を明確に記載しておく方がベストです。
そのため、ECサイト上には会社情報、広告文責、運営責任者名など、運営者の情報をできる限り記載しておきましょう。
単品通販で売上アップを狙うための施策
単品通販で売上アップを狙うための施策は、次の4つです。
- 初回購入のハードルを下げる
- アップセル・クロスセル
- 定期購入の選択肢を増やす
- 販売チャネルを増やす
初回購入のハードルを下げる
単品通販では、初回購入のハードルを極力下げることが得策です。
世間に認知度の低い商品が多い単品通販では、ユーザーが躊躇なく購入してくれる率は低く、初回購入の単価が高額であればあるほど申し込みが入りづらくなります。
商品の認知度を上げるには、できるだけ多くのユーザーに商品を使ってもらうことが優先のため、できれば初回購入条件のハードルを下げ、安価にお試しできるセットなどがあればベストです。
アップセル・クロスセル
アップセルとクロスセルは、単品通販の売上アップにおいて外せない施策の一つです。
アップセルは主力商品よりグレードの高い商品への誘導を意味し、クロスセルはセット販売を意味するなど、主力商品と一緒に使うとよい商品の推奨行為を指します。
単品通販では、顧客1人あたりの購買単価を少しでも上げることが必須のため、押し付けがましくなく、アップセルやクロスセルをECサイト上に行いましょう。
定期購入の選択肢を増やす
定期購入の選択肢を増やすことも、単品通販の有力な施策の一つです。
定期購入の選択肢とは、必ずしも「定期購入=毎月(1か月)の発送」に限定せず、2か月~3か月ごと、半年に1回など発送期間の種類を指します。
従来の定期購入といえば、毎月送られてくるイメージが色濃かったものですが、全ての顧客が毎月商品を欲しいとは限らないため、定期購入の選択肢が少なければ、購入手続きを止めてしまうユーザーも少なくありません。
ユーザーによっては『3か月に1回なら送ってくれてもいいかな『「いつでも休止・解約できる方がいい』など個々によってニーズは様々なため、購入を途中で断念されないためにも、定期購入の選択肢は極力増やしておくとよいでしょう。
販売チャネルを増やす
単品通販では、販売チャネルをなるべく増やすことも肝心です。
販売チャネルを増やすとは、Google検索で表示される検索結果のWebページだけでなく、SNSやメルマガなど、LPを配信する間口を広げることです。
単品通販では、1つの販売チャネルに固執していても売上は限られるため、なるべく多くの人の目に自社のLPを触れさせるよう、策を練りましょう。
単品通販の成功事例【業種別】
ここでは、単品通販の成功事例を3つご紹介致します。
わかさ生活
出典:わかさ生活
わかさ生活とは、健康食品と化粧品の単品通販を専門に行っている企業です。
わかさ生活は、単品通販のパイオニア企業と呼ばれており、EC部門だけでなく、テレビを使った単品通販で全国的な知名度を獲得しています。
看板商品の「ブルーベリーアイ」を始めとし、さまざまな性別、年齢層から根強い支持を受けています。
わかさ生活の定期便では「毎月」「2か月に1回」「3か月に1回」などの選択肢があります。
Tabio(タビオ)
出典:Tabio
Tabio(タビオ)とは、タビオ株式会社が運営するECサイトで、靴下の製造や企画、直販を行うDtoCの成功例です。
化粧品や健康食品と比べ、アパレル商品の単品通販は難しいと言われますが、靴下やストッキングは、誰もが定期的に必要な消耗品であることから、タビオ株式会社は大躍進を遂げています。
ECサイトでは、送料無料や10%オフの靴下定期販売の強化により、コロナ禍でも順調に業績を伸ばしています。
また、Tabioでは靴下の定期便を行っており「3か月」または「6か月」ごとの間隔で靴下を配送してくれます。
nosh(ナッシュ)
出典:nosh
nosh(ナッシュ)とは、管理栄養士と一流シェフが考案した食事サービスの単品通販を専門に行っている企業です。
noshの単品通販が成功した一因は「選べる定期便」です。
一般的に定期便は、毎月決まった日程で送られてくる煩わしさがありますが、noshは連絡1つでいつでも定期便の休止や解約も可能です。
サービスの品質と自由度が多くのユーザーに受け入れられ、販売件数は累計1,000万食を突破しています。
まとめ
今回は「単品通販」について、ビジネスモデルなどの基礎知識、総合通販との違い、売上アップの施策なども踏まえてお話させて頂きました。
まとめますと、単品通販とは、1種類の商品、あるいは1つのブランドに限定して販売を行うECサイトのことです。
単品通販の特徴・ビジネスモデルは、次の5つです。
- 取り扱い商品は1種類・1ブランド
- 特定のターゲット層にアプローチ
- 送料・配送手段の選択肢が少ない
- リピート客を獲得しやすい
- 認知度が低い・オリジナル商品が多い
単品通販のメリット・デメリットは、それぞれ次のようになります。
▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください
メリット | デメリット |
---|---|
・商品点数を多く用意しなくていい ・新規参入のハードルが低い ・価格競争に巻き込まれない ・安定した売上が見込みやすい ・在庫管理の手間が少ない |
・客単価アップが狙いにくい ・認知度アップに時間がかかる ・プロモーション費用がかかる ・リスクが高い ・販売ターゲットが限定される |
単品通販の始め方は、次の7つのステップを踏まえることです。
- 商品・ペルソナを決める
- ECサイト構築方法を選定
- 商品撮影
- LP制作
- 決済・配送方法の準備
- プロモーション
- 販売開始
単品通販を始めるときの注意点は以下の5つです。
- ファーストビューにこだわる
- 外部リンクを減らす
- CVボタンを挿入しすぎない
- 無理に定期購入させない
- 会社情報・広告文責を必ず記載
単品通販で売上アップを狙うための施策は、次の4つです。
- 初回購入のハードルを下げる
- アップセル・クロスセル
- 定期購入の選択肢を増やす
- 販売チャネルを増やす
単品通販はデメリットをきちんと踏まえて取り組めば、参入ハードルが低く、比較的始めやすいビジネスモデルです。
日本国内での単品通販(DtoC)の市場規模は、まだまだこれから拡大の余地がありますので、成功事例の企業に習い、まずは小資本から始めてみてはいかがでしょうか。
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