BtoB-ECサイトとは?市場規模・構築方法~マーケティング戦略・国内・海外事例も紹介
『BtoB-ECサイトとは?』
『市場が大きく、儲かるって聞いたけど本当?』
『BtoB-ECサイトの構築方法や作り方が知りたい!』
BtoB-ECサイトは、インターネット上で企業間同士が売買取引を行うことです。
BtoB-ECサイトの市場規模は、BtoCの約20倍以上の巨大マーケットです。
BtoB向けにECサイトの構築を検討している企業は、今すぐ行動を起こすべきかもしれません!
今回は、BtoB-ECサイトの基礎知識、市場規模、構築方法~マーケティング戦略と共に、国内・海外事例も踏まえ、解説致します。
BtoB-ECサイトとは?
BtoB-ECサイトとは「Business(企業) to Business(企業)・e-commerce(イーコマース)」の略称で、企業間同士の電子商取引のことです。
BtoB-ECサイトの代表例としては、アスクル(事務用品)、NETSEA(問屋/卸売)、中国のアリババ(企業間マッチングサイト)などがよく知られています。
BtoB-ECサイトは、BtoC(企業→一般消費者)のように、必ずしもショッピングカートと決済機能が付いた形式のECサイトばかりではありません。
たとえば、案件受注のマッチングサイトや、株主向けのキャンペーン告知、特定の業種にサービスを告知・販売するLP(ランディングページ)なども、広き意味のBtoB-ECサイトに含まれます。
つまり、今日におけるBtoB-ECサイトとは、企業間同士がインターネットを通じて行う商取引全般を指します。
BtoB-ECサイトのビジネスモデル
BtoB-ECサイトのビジネスモデルは、大きく分けて次の2種類があります。
- クローズド型BtoBサイト
- スモール型BtoBサイト(スモールB)
クローズド型BtoBサイト
クローズド型BtoBサイトとは、字のごとく「クローズド(閉ざされた)」に行われる取引で、主に既存の得意先とのやり取りを中心とするECサイトのことです。
クローズド型BtoBサイトは、既存の得意先に対して、IDとパスワードを発行してやり取りする性質をもち、原則的には新規客や将来の見込み客を対象とはしていません。
クローズド型BtoBサイトは、ECサイトのビジネス自体で収益を上げるというよりも、社内の「業務効率化」に主軸が置かれています。
スモール型BtoBサイト(スモールB)
スモール型BtoBサイトとは、小口取引を中心とし、日本中全ての企業を対象とするECサイトのことです。
別名「スモールB」とも呼ばれています。
スモール型BtoBサイトは、Webサイトを閲覧してくれる全ての企業が対象のため、一般的なBtoCサイトと同じく、Webサイト自体の収益が運用目的となります。
スモール型BtoBサイトの販売ターゲットは、必ずしも新規客や将来の見込み客だけではありません。
既存顧客のなかでも、営業マンのフォローが行き届きにくい小規模事業者や、取引金額の小さい企業から少額受注をWebサイトに通じてこまめに拾う用途として活用することもできます。
BtoB-ECサイトの市場規模
経済産業省が発表した資料「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によりますと、2020 年の BtoB-EC 市場規模は、334 兆 9,106 億円です。
経済産業省の同資料によると、2020年のBtoC-EC市場規模は19 兆 2,779 億円であることから、BtoB市場はBtoC市場の約20倍近い巨大なマーケットといえます。
BtoBの市場規模は、前年の2019年より5.1%ほど減少しましたが、国内企業のBtoBのEC化率は前年より増加しています。
次は、BtoBの市場規模が減少しているにも関わらず、国内企業のEC化率が増加した理由を分析してみましょう。
企業のEC化率
2020年の国内企業のBtoB・EC化率は33.5%で、BtoCのEC化率8%と比較すると、BtoBのEC化率は約4倍以上の割合です。
なかでも、前年度よりEC化率の増加幅が目立つ業種は「建設・不動産業」「食品」「繊維・日用品などの製造業全般」「情報通信」など、いずれも新型コロナショックにより、非接触型の流通、営業システムの導入を強いられた業種です。
言い換えれば、新型コロナウイルスが国内全体のEC化率の増加に一役買ったことになります。
新型コロナは、2021年下半期から収束の気配が見えつつあります。
しかし、専門家からは「すでに浸透した非接触型の流通、営業システムがコロナ前の状況に戻ることはない」という見方が広がっており、今後も国内BtoBのEC化率は増加傾向の見通しが濃厚です。
BtoB-ECサイトのプラットフォーム比較一覧
ここでは、BtoB-ECサイトのプラットフォームの特徴を比較し、一覧にまとめています。
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構築方法 | 特徴 | 代表的なECサイト |
---|---|---|
モール型 | ・モールのテナントとして出店 ・基本機能は全て揃っている ・集客力、信頼度が高い ・独自ドメイン取得不可 ・カスタマイズは不可 |
NETSEA、アリババ |
ASPカート型 | ・業者CMS内でサービスを利用 ・基本機能は全て揃っている ・機能の追加はほぼ不可 ・独自ドメイン取得可能 ・カスタマイズは不可 |
Bカート、楽楽B2B |
オープンソース型 | ・業者CMS内でサービスを利用 ・基本機能はほぼ揃っている ・プラグインで機能の追加可能 ・独自ドメイン取得可能 ・カスタマイズが自由にできる |
EC-CUBE、Adobe Commerce |
パッケージ型 | ・業者CMS or自社サーバーにインストール ・本格的な機能がフル装備 ・欲しい機能は全て追加可能 ・独自ドメイン取得可能 ・カスタマイズが自由にできる |
ecbeing、アラジンEC |
フルスクラッチ型 | ・一からサイト構築を行う ・思い通りのサイト構築が可能 ・費用は最も高額 ・開発期間は最も長期間 ・サーバー、セキュリティも全て自社 |
ユニクロ、ZOZO |
モール型
モール型とは、ショッピングモールのテナントとして出店する方法です。
代表的なBtoB-ECサイトとしては、国内最大級の卸サイト「NETSEA(ネッシー)」や、世界最大級の企業間マッチングサイトで中国生まれの「アリババ」などがよく知られています。
モール型は、ECサイト運営に必要な機能は全て揃っており、サーバー契約など自社であれこれ実装する必要はありませんが、必要な機能の追加やカスタマイズはほぼ不可能です。
モール型を使うメリットは、モール自体の知名度が高く、多くの固定客がすでに付いていることから、自社で広報活動を行う手間が大幅に削減できる点です。
デメリットとしては、知名度の高いモールほど高額な初期費用やランニングコストが必要であり、独自ドメインの取得やカスタマイズもできない点になります。
モール型は独自ドメインも取得できないため、BtoBのECサイトを使って独自のブランディングを高めたい企業には、不向きな選択肢といえるでしょう。
ASPカート型
ASPカート型とは、ECサイトのプラットフォームをベンダーからレンタルする方式です。
代表的なBtoB-ECサイトとしては「Bカート」や「楽楽B2B」などがよく知られています。
ASPカート型もモール型と同様、ECサイト構築や運営に必要な機能は全て揃っており、自社で別途サーバーの契約や用意は不要です。
BtoBに対応するASP型カートサービスの多くは、初期費用や月額が必要となりますが、集客やプロモーションは自社で行う必要があります。
ASPカート型を使うメリットは、独自ドメインが取得でき、比較的低コストでBtoBのECビジネスを早期に開始できる点です。
デメリットとしては、モール型と同様に、必要な機能の追加やカスタマイズがほぼ不可能なことです。
ASPカート型は既存顧客向けの用途に絞る「クローズド型BtoBサイト」の運用で、とにかく早期に開設したい企業に向いている選択肢といえるでしょう。
オープンソース型
オープンソース型とは、ソースコードが公開されている、フリーライセンスのソフトウェアを使ってECサイトを構築する方法です。
代表的なBtoB-ECサイトとしては「EC-CUBE(BtoB向け)」や「Adobe Commerce(旧:Magento)」などがよく知られています。
オープンソース型は自社でサーバーの用意が必要になりますが、ソースコードを使って自由にカスタマイズができ、必要な機能はプラグインでどんどん追加することも可能です。
オープンソース型でECサイトを構築するメリットは、独自ドメインが取得でき、初期費用や月額費用を抑え、低コストでECサイトを早期に構築しやすい点です。
デメリットとしては、誰でも無料でインストールできるため、セキュリティ面の不安が大きく、社内に専門知識のある人材を安定的に確保しなければなりません。
オープンソース型は、社内に専門知識のある人材が常駐、あるいは将来においても継続的に専門的な人材が確保できる企業向きの選択肢となります。
パッケージ型
パッケージ型とは、本格ハイエンドなECサイトの構築に必要な機能を、ひとまとめにパッケージされてあるサービスを使う方法です。
代表的なBtoB-ECサイトとしては「ecbeing(イーシービーイング)」や「アラジンEC」などがよく知られています。
ただし、パッケージ型を導入するための初期費用は数百万円単位が相場であり、サービスによっては高額な月額が必要になるケースも珍しくありません。
パッケージ型を使うメリットは、本格ハイエンドなECサイトを一から構築するよりも、開発期間が大幅に短縮でき、ベンダーによってはソースコードを公開してくれるため、社内でカスタマイズも可能な点です。
クラウド型の方法を選べば、セキュリティ対策や最新機能のアップロードもベンダー側が請け負ってくれます。
デメリットとしては、オープンソース型と同様、ECサイトの更新や必要な機能の追加には社内に専門知識が必要な人材が必須となる点です。
パッケージ型は高額な構築費用と、専門性のある人材が必須となることから、最低年商10億円以上の企業向けの選択肢といえるでしょう。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型とは、既存のパッケージは一切使わず、一からECサイトを構築する方法です。
BtoCの代表例では、ユニクロやZOZOTOWNなどのECサイトがよく知られています。
フルスクラッチ型でECサイトを構築する最大のメリットは、世界でただ1つのオリジナルサイトを思うままに構築できる点です。
デメリットとしては、構築費用は最も高額であり、開発期間も約1年近くかかってしまうため、フルスクラッチ型は年商数百億~数千億の大企業向けの選択肢といえます。
とくに近年は、ECパッケージのグレードが上がっており、ECサイト構築要件をほとんど満たせることから、フルスクラッチ型でECサイト構築を行う企業の事例は徐々に減少傾向にあります。
BtoB-ECサイトのメリット・デメリット
BtoB-ECサイトを始める上で、考えられるメリット・デメリットを紹介していきます。
メリット
BtoB-ECサイトを始めるメリットは、次の3点です。
- 社内の業務効率化
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BtoB-ECサイトを始める一番のメリットは、社内の業務効率化が図れることです。
従来、顧客からFAXやメールのみで受注を受けていた企業も、BtoBサイトを通じて受注される仕組みを作ることで、社内の受注業務や物流業務を大幅に効率化することができます。
新商品の案内なども随時サイトにアップしておけば、顧客がリアルタイムに閲覧し、購買を検討しやすくなるため、営業担当者の手間も大幅に削減できます。
- 販売エリアのボーダレス化
-
BtoB-ECサイトの運用を強化することで、販売エリアを選ばず、ボーダレスな取引を増やすことが期待できます。
たとえば、遠方で滅多に顔をあわさない既存顧客や、取引が少なくなり電話やメールでやりとりする機会が減った既存顧客へのフォローアップにもBtoB-ECサイトは有益です。
一方の顧客側も、BtoB-ECサイトを通じれば、気兼ねなしに少量発注を行いやすいメリットがあります。
営業は必ずしも電話や対面フォローがプラスに働くとは限らず、少量の発注をコンスタントに行いたい顧客にとっては、ECサイトの方が気兼ねなく発注できる側面も否定できません。
- 新規・既存顧客からの受注増
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BtoB-ECサイトの運用は、新規や既存顧客からの受注増にもつながります。
ECサイトは顧客にURLを告知しておくだけで、取り扱う商品のさまざまな情報が一括で閲覧してもらえるため、意外な商品の販売機会につながるケースも少なくありません。
既存顧客についても同様で、対面、メール、電話のみでやり取りを行う体制下では、営業担当者が案内した商品の商談がどうしても中心となってしまいます。
しかし、ECサイトに様々なラインナップの商品情報をアップしておけば、自社では想定していなかった商品に興味を示してもらえたり、新商品の案内もスムーズに行うことが可能です。
デメリット
BtoB-ECサイトを始めるデメリットは、次の3点です。
導入費用・ランニングコストが必要
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当然ですが、BtoB-ECサイトを構築するには、導入費用とランニングコストが必要です。
ECサイトは費用をかけるほど、クオリティの高いECサイトを構築できますが、社内予算や、先行投資の回収時期などを踏まえ、構築方法をよく検討すべきといえます。
要件定義をきっちりと行い、社内の予算や売上目標や、費用の回収時期などを踏まえた事業計画をしっかりたて、ECサイトの構築に着手することが肝心です。
- 社内の専門業務が増える
-
BtoB-ECサイトを始めることで、ECサイト運用ならではの専門業務が新たに増えるのも事実です。
BtoB-ECサイトの運用で社内の既存業務は効率化できますが、出品作業、商品撮影、サイト更新など、Web関連の専門業務が別途発生することは避けられません。
ただし、Web関連の業務は、比較的外注しやすいカテゴリーの業務です。
ECサイト運用に関連する専門業務は、必ずしも社内で全て行う必要はなく、必要部分は外部の専門ベンダーへ委託することも検討しましょう。
- 取引方法変更の混乱が生じる恐れあり<
-
BtoB-ECサイト運用の初期段階は、既存顧客から取引方法変更の混乱が生じる恐れもあります。
今になってもFAXや電話などのやり取りが中心の業界では、ECサイトを使った受発注に即座に順応できないケースも少なくありません。
しかし、ECサイトに限らず、新しい体制を構築するには混乱がつきもののため、初期段階は既存顧客に対するフォローアップを強化し、徐々に運用体制を確立させていきましょう。
BtoB-ECサイトの構築方法・始め方
BtoB-ECサイトの構築方法・始め方は、次の7つのステップを踏まえることです。
- ECサイト運用の事業計画を練る
- ECサイトの構築・運用の担当者を決定
- 要件定義を行う
- ECサイトの構築方法・予算を決定
- ECサイト開発の実務に着手
- 決済機能を実装
- テスト運用を開始
【ステップ1】ECサイト運用の事業計画を練る
まず、BtoB-ECサイトの構築には、目的や目標を設定し、事業計画を作成することから開始します。
前述のように、BtoB-ECサイトのビジネスモデルには2通りあり、既存顧客との業務効率化を図るのか、不特定多数の企業を対象とした小口取引で間口を広げるのかでは、構築方法や目指す方向性がことなります。
BtoB-ECサイトを構築し、どのような目的や目標を達成すべきなのかを洗い出し、費用、ランニングコストの概算を算出し、綿密に事業計画を練っていきましょう。
【ステップ2】ECサイトの構築・運用の担当者を決定
BtoB-ECサイトの事業計画が作成できたら、ECサイトの構築・運用の担当者を決定します。
ECサイト構築には、主に以下の業務を担当する人材が必要になります。
- 商品企画
- 受発注業務
- 顧客対応
- Webディレクター
- Webデザイナー
- コーディング
- Webマーケティング
- 出品・撮影作業
- SE
赤文字の部分は外部に委託しやすい業務ですので、社内で担当できる該当者がいない場合は、外部ベンダーをアサインすることを検討しましょう。
【ステップ3】要件定義を行う
BtoB-ECサイトの事業計画や担当者が決定したら、要件定義を行います。
自社が設定した売上目標、業務効率化などの目的を達成するためには、どのような機能を実装すべきなのかを、具体的に書面で落とし込んでいきます。
通常、要件定義はECサイト構築の総指揮を取るWebディレクターが作成することが多いものですが、外部に委託する場合は、社内、社外、合同で要件定義書を作成しましょう。
【ステップ4】ECサイトの構築方法・予算を決定
要件定義が終われば、BtoB-ECサイトの構築方法・予算を決定します。
とにかくBtoBビジネスを早期に開始したい、時間を優先するならモール出店か、ASPカートを使った構築方法がおすすめです。
社内にWebの専門知識をもつ人材がいる場合は、オープンソース型を使えば、早期にかつ、オリジナル性の高いECサイトに仕上げることができます。
予算をかけて、ハイエンドなBtoB-ECサイトを構築したいなら、パッケージを使った方法が有力な選択肢です。
自社の要件定義を満たすと共に、社内の予算を踏まえ、最適な構築方法を検討しましょう。
【ステップ5】ECサイト開発の実務に着手
ECサイトの構築方法と予算が決定すれば、ECサイト開発の実務に着手します。
Webデザイン、コーディングと同時に、社内の基幹システムとの連携が必要な場合は専門のSEに開発を依頼することになるでしょう。
開発期間は構築を目指すECサイトの規模によりますが、フルスクラッチ型以外なら平均2~3か月が相場となります。
【ステップ6】決済機能を実装
ECサイトで売上を伸ばすには、サイト内で決済機能を実装しておくことが理想的です。
しかし、既存の得意先のみをターゲットにする「クローズド型BtoBサイト」では、ECサイトの決済機能を使わず、顧客との取り決めに従い、経理から顧客に請求書を発送する方式で運用を開始することも不可能ではありません。
不特定多数の顧客に商品やサービスを販売する「スモール型BtoBサイト」の運用では「Paid」などの掛売に対応しているBtoB専用の決済機能の導入が推奨されています。
BtoB向け決済ツールの導入には、審査に時間がかかりますので、サイト開発に着手したと同時に申し込みを済ませておきたいものです。
【ステップ7】テスト運用を開始
ECサイトの開発が終了したら、いよいよテスト運用の開始です。
端末やブラウザを変えて、受注機能の動作確認を何度もテストしてみましょう。
ECサイト以外とも在庫を連動させているなど、社内の基幹システムと連携させている場合は、全ての機能が完璧に稼働するかのチェックも必要です。
BtoB-ECサイト成功に必須のマーケティング戦略
BtoB-ECサイト、とくにスモール型BtoBサイトを成功に導くには、マーケティング戦略を強化することも欠かせない施策です。
既存顧客だけをターゲットにするBtoB-ECサイトの運用では、マーケティング戦略は不要とする企業も見受けられますが、マーケティング施策の強化により、思いがけない成果に繋がるケースは決して少なくありません。
BtoB-ECサイトには、以下6つのマーケティング戦略が有益な選択肢となります。
- チラシ・紹介
- SEO対策・リスティング広告
- SNS対策
- アップセル・クロスセル機能の導入
- メルマガ配信
- オウンドメディアの運用
チラシ・紹介
BtoB-ECサイト運用の初期段階は、チラシや紹介などの旧態依然の方式がよい場面があります。
チラシは手配りで配布する方法もありますが、既存の取引先への発送時などに、特典付きのチラシを同梱させておくのも効果的です。
紹介とは、必ずしも既存の取引先やビジネス関連の知人だけに限定する必要はありません。
ECサイト開設時は、なるべく多くの人にECサイトの存在を知ってもらうことが重要であるため、プライベートやビジネスと直接関係がなさそうな人にも、遠慮なく告知していきましょう。
SEO対策・リスティング広告
BtoCだけでなく、BtoBにおいても、SEO対策とリスティング広告は、売上に直結しやすい有益なマーケティング手段です。
とくに、BtoBはBtoCとことなり、業界ならではのニッチなキーワードを抽出しやすく、上位表示や広告成果が上がりやすいと言われています。
たとえば、ある飲食店が新メニューとして、ラーメンの材料を導入したいとしましょう。
Googleで「ラーメン」の検索回数は月間612万回ものビックワードのため、とても上位を狙うことは困難です。
しかし「ラーメン」に 「卸」を付けた「ラーメン 卸」というワードなら、月間20回しか検索件数がなく、上位表示を狙いやすいキーワードとなります。
さらに、ラーメンの材料が欲しいと探している人は「ラーメン 卸」と検索する可能性が高く、BtoBでは販売ターゲットにマッチしやすい有力なキーワードとなるのです。
リスティング広告も、キーワードに比例して広告費用がことなりますが、検索件数が少ないほど広告費は安くなるため、BtoCよりも低コストでターゲットにアプローチできます。
SNS対策
SNS対策は、近年あらゆる場面で重視されていますが、BtoB-ECサイトにおいても例外ではありません。
BtoB向けのSNS対策としては「Facebook」「Instagram」の企業向けWebページの充実や、海外市場向きでは「LinkedIn(リンクトイン)」などが評判です。
SNS対策といっても大げさに考える必要はなく、まずは担当者が地道に毎日コツコツと投稿を続けていくだけでも、将来的に何らかの成果につながる可能性があります。
SNSは「人のつながり」こそ重要であり、自社にとっては日常の当たり前のことでも、情報を見た人がどのような感想をもち、どのように感じるかはそれぞれだからです。
SNS対策と大げさに構えず、自社が日々の日常業務で発見したこと、物作りのこだわり、人事面など様々なテーマについて、こまめに投稿していくことから開始しましょう。
アップセル・クロスセル機能の導入
アップセル・クロスセル機能の導入は、ECサイトの売上アップに欠かせない機能です。
アップセル、クロスセルとは、ECサイト内での単価アップや、セット販売を促進することです。
たとえば、顧客がレディースTシャツの商品ページを閲覧したり、買い物かごに入れた途端に「あと〇〇個購入すると、〇円割引になります」などが自動表示されるなどの機能を指します。
BtoB-ECサイトにおいて、アップセル、クロスセル機能は、営業担当者が直接クロージングをかけるより、有益になるケースが少なくありません。
なぜなら、営業担当者が直接電話やメールなどで「あと〇〇購入すれば、もれなく〇〇がついてきます」といえば、引いてしまう顧客もいますが、ECサイトの自動機能で告知すれば、さりげなく単価アップやセット買いを検討してもらいやすくなるからです。
アップセル・クロスセル機能は、構築方法によってグレードがことなりますが、ECサイトでの売上アップを目指す上では、必ず実装しておくべき機能といえるでしょう。
メルマガ配信
ECサイトの運用においては、メルマガ配信は欠かせないマーケティング手段ですが、BtoB-ECサイトでは、場面別にメルマガを使い分けることも有益となります。
単に会員全員にお得な情報を一斉配信するだけでなく、大口のVIP顧客や個別顧客向け限定に「クローズド配信」を行ってみるのも効果的です。
小売店向きなら、ディーラーならではの売上アップの施策や、他店が売上アップに成功した事例など、メルマガ会員ならではの限定情報を盛り込むのも、開封率、CV率を上げる施策となるでしょう。
オウンドメディアの運用
オウンドメディアとは、自社ならではの情報発信が行えるメディア媒体のことです。
自社のサービスや商品の紹介などは公式サイトで十分という見方もありますが、公式サイトの主な目的は主力商品、会社概要など企業の基本情報の開示などです。
オウンドメディアの具体例としては、ブログやLP(ランディングページ)、SNSなどが挙げられますが、自社ならではのこだわり、他社との違いなど、公式サイトで伝えきれないことを、独自メディアで世に発信していきましょう。
BtoB-ECサイト事例5選【国内・海外】
ここでは、BtoB-ECサイトの著名な事例を5つご紹介致します。
スーパーデリバリー
出典:スーパーデリバリー
スーパーデリバリーは、全国のネットショップ、小売店を対象とした、モール型の会員制卸売りサイトです。
出展企業数は約3,000社近くに上っており、取り扱い商品はアパレル商品を中心にインテリア、雑貨など、約140万点ほどです。
出展者、購買者共にWebサイトの利用には審査が必要となりますが、集客力が高いため、出店すれば早期に売上が見込みやすいプラットフォームです。
モノタロウ
出典:モノタロウ
モノタロウ(MonotaRO)とは、製造業、工事業、自動車整備業などを対象にしたBtoB向けECサイトです。
モノタロウは、釘一本、ねじ一本でも購入が可能であることから、今では現場仕事業界ではなくてはならない人気ECサイトに成長しています。
モノタロウは、国内EC市場の全体ランキングでもトップクラスの流通総額を誇っており、今ではBtoB-ECビジネスのレジェンドともいえるECサイトに成長しています。
利他フーズ
出典:利他フーズ
利他フーズ(リタフーズ)とは、熊本県に本社を置く株式会社利他フーズが全国の飲食店を対象に「馬刺し」を卸すBtoBサイトです。
利他フーズのビジネスモデルは、従来の食品卸業者のように、特定の業種にターゲットを絞らず、馬刺しを使って店の客単価を上げたい全ての飲食店が対象とされています。
利他フーズのBtoBサイト成功に秘訣は、馬刺しという高級食材でありながら、980円の安価なお試しセットを作るなど、BtoCと類似したプロモーション方法が功を奏しています。
アリババグループ
出典:アリババ株式会社
アリババは、中国の大手IT企業・アリババグループが運営するBtoBプラットフォームです。
アリババは、別名「世界最大のオンライン展示会」とも呼ばれており、今ではBtoB-ECサイトの代名詞となっています。
ビジネスマッチングのBtoBサイトとしてアリババは、出展企業数や取引高も世界一を誇っており、出展するだけで世界中から問合せが殺到するほど、圧倒的な集客力が特徴的です。
ただし、アリババに出展するには、数百万円単位の保証金や運営上の課題も多く、現段階で日本企業が出展するには、なかなかハードルが高いのも実状です。
Amazonビジネス
出典:Amazonビジネス
Amazonビジネスとは、大手ECプラットフォーム・Amazonの法人向けサイトです。
Amazonビジネスは、日本の上場企業の75%が利用しているといわれており、主に事務用品や消耗品が大量購入による割引価格が適用できるのが特徴です。
2018年よりサービスを開始して以来、世界8各国で売上がすでに25兆円に達していることから、BtoB-ECサイトの市場規模の大きさがうかがえます。
まとめ
今回は、BtoB-ECサイトの基礎知識、市場規模、構築方法、マーケティング戦略も含めてお話させて頂きました。
まとめますと、BtoB-ECサイトとは「Business to Business・e-commerce」の略称で、企業間同士の電子商取引のことです。
BtoB-ECサイトのビジネスモデルは、大きく分けて次の2種類があります。
- クローズド型BtoBサイト:既存の得意先対象
- スモール型BtoBサイト(スモールB):日本中の全ての企業が対象・小口取引
BtoB-ECサイトの構築方法は、主に次の5つが有力な選択肢となります。
- モール型
-
モールのテナントとして出店
- ASPカート型
-
ベンダー提供のレンタルプラットフォームを利用して構築
- オープンソース型
-
フリーライセンスのCMSで、自社でカスタマイズ可能
- パッケージ型
-
ハイエンドなECサイト構築が可能で、選択肢はベンダー提供CMSかパッケージ
- フルスクラッチ型
-
既存のパッケージを使わず、一からECサイトの構築を行う
BtoB-ECサイトのメリット・デメリットは、それぞれ3点です。
▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください
メリット | デメリット |
---|---|
・社内の業務効率化 ・販売エリアのボーダレス化 ・新規、既存顧客からの受注増 |
・導入費用、ランニングコストが必要 ・社内の専門業務が増える ・取引方法変更の混乱が生じる恐れあり |
BtoB-ECサイトの構築方法・始め方は、次の7つのステップを踏まえることです。
- ECサイト運用の事業計画を練る
- ECサイトの構築・運用の担当者を決定
- 要件定義を行う
- ECサイトの構築方法・予算を決定
- ECサイト開発の実務に着手
- 決済機能を実装
- テスト運用を開始
BtoB-ECサイトには、以下6つのマーケティング戦略が有益な選択肢となります。
- チラシ・紹介
- SEO対策・リスティング広告
- SNS対策
- アップセル・クロスセル機能の導入
- メルマガ配信
- オウンドメディアの運用
2020年のBtoB-EC 市場規模は、334 兆 9,106 億円にも達している巨大マーケットです。
BtoB-ECサイトの運用は、必ずや貴社の事業反映にとなりますので、ECサイト構築を検討している企業様は、できる限り早期に実行に移して頂くことをおすすめします。
まずは無料でご相談ください。
お問い合わせ・ご相談や、公開後の修正依頼などに関しては、いずれかの方法にてお問い合わせください。
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