中国越境ECとは?市場状況等の基礎知識~始め方・成功する秘訣までプロが解説
『中国越境ECって何?』
『中国越境ECの始め方、成功の秘訣が知りたい!』
物販ビジネス業界で大きな話題なのが中国越境ECです。
中国は日本からほど近い距離にあり、世界一の人口や広い国土をもつ魅力的な市場です。
しかし、中国越境EC市場は、日本や諸外国ほど参入が簡単ではありません。
なぜなら、中国には独自のネット規制や税制など規制が多いからです。
中国越境ECを本気で成功させるには、中国のEC市場のことを深く知る必要があります。
今回は、話題の中国越境ECについての基礎知識、市場分析~始め方・成功する秘訣まで中国ビジネスのプロが丸ごと解説致します。
中国越境ECとは?仕組みを解説
中国越境ECとは、中国国外の事業者が国境を越えて中国ユーザーにEC販売を行うことです。
ところが、中国の越境ECは、アメリカや同じ中華圏の香港や台湾などと同じような方式で簡単に参入、運営を行うことができません。
中国ならではの関税事情、ネット規制、法規制がたくさんあるため、他国と明らかに事情がことなります。
一般的に越境ECの事業モデルとは、以下6つの形式に分かれています。
- A.国内自社サイト
-
既存の日本語サイトを越境EC向けに多言語化
- B.国内ECモール
-
楽天市場やAmazonなど越境EC対応のモールに出店
- C.相手国ECモールに出店
-
相手国のECモールに出店
- D.保税区活用型出店(出品)
-
相手国の保税区域から発送
- E.一般貿易型EC販売
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相手国の輸入者に商品をまとめて発送
- F. 相手国自社サイト
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相手国に自社サイトを開設
A「国内自社サイト」とB「国内ECモール」の形式は、日本のEC事業モデルを活用することから、越境EC初心者の企業にとって最も参入ハードルが低い方法です。
しかし、中国においては、AとB.の事業モデルを活用し、現地のEC販売に参入することは困難です。
中国に日本のEC事業モデルがそのまま活用できない理由は、後述する「中国越境EC規制・リスク」の部分にて詳しくお話致します。
中国越境ECの3つの事業モデル
中国越境ECの事業モデルは、後述する中国独自のネット規制を加味すると、以下3つが有力な選択肢となります。
- 中国ECモールに出店
- 中国で自社サイトを開設
- 中国のSNSを活用する
中国ECモールに出店
中国ECモールへの出店とは「T-mall(天猫)」や「JD.com(京東商城)」など、中国大手のECモールに販売者として出店し、越境ECを運営する方法です。
中国の様々な法規制や集客面を加味すると、中国ECモールへの出店は日本企業にとって最も有力な選択肢といえます。
ただし、中国の大手ECモールへの出店には、運営企業が定める出店条件をクリアしていることが前提となり、モールによっては一定の保証金を支払う覚悟が必要です。
発送方法は、日本から中国のユーザーに直送する方式を採用する越境EC事業者もいますが、コストや配送スピード面では中国国内に拠点を構える競合他社より不利になる側面も否定できません。
世界中から集まる中国大手ECモールの販売者の中で人気店にのし上がるには、中国の保税区域、あるいは中国国内の拠点をもつことが必須といえるでしょう。
中国で自社サイトを開設
中国の自社サイトとは、中国国内のサーバーを契約し、中国でオリジナルの自社ECサイトを開設、そして越境ECを運営する方法となります。
ただし、中国で自社ECサイトを開設する場合は、電信管理機構または国務院の情報産業主管部門まで、ICP(Internet Contents Provider)関係の手続きが必要です。
そのため、個人で自社ECサイトを運営するよりも、現地に法人登記を行う、あるいは中国の現地法人と合同事業として取り組む方が有力な選択肢となります。
また、発送方法は日本から直送を行うよりも、ユーザーからの信頼度を考慮すれば、中国の保税区域、あるいは中国国内に設けた拠点からオペレーションを行うことが現実的です。
中国のSNSを活用する
中国ではSNSを活用してEC販売を行うことも、有力な選択肢です。
中国では「T-mall(天猫)」や「JD.com(京東」などのモールではなく「We Chat」や「Weibo」などのSNSアカウントを使い、手軽にEC販売を行う若者が数多く存在します。
個人販売と聞けば、日本の感覚では規模の小さいビジネスであるかのように聞こえますが、世界一の人口規模を誇る中国では、SNSを使ったEC事業規模は決して小さくありません。
近年では、中国および各国の企業もSNSを使った販売ネットワークをどんどん強化しており、市場規模は大手ECモールをしのぐほどにあります。
いずれにせよSNSは中国のWeb集客で絶対に外せない選択肢となりますので、越境ECに着手すると同時に店舗独自のSNSアカウントを開設しておきましょう。
規制やリスクは?中国向け越境ECを始める前の注意点
中国向け越境ECを始める前の注意点は以下の3点です。
- 中国独自のネット規制
- 税金・関税・販売額の規制
- 追跡が可能な大手物流業者を使う
中国独自のネット規制
ECサイトを運営するにはネット回線やサーバーが必須となりますが、中国には「金盾(きんじゅん)」という独自のネット規制があります。
たとえば、日本でよく使われている以下のようなWebサイトは、中国の内国人が閲覧することができません。
▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください
▼中国で閲覧不可のWebサイト | ▼中国で閲覧は可能だが、読み込みが遅い |
---|---|
・Google ・Amazon ・LINE ・YouTube |
・Yahoo!ショッピング ・楽天市場 ・メルカリ |
厳密にいえば、中国本土でも「VPN」という専用ネットワークを接続すれば、ほとんどの海外サイトを閲覧することができます。
しかし、多くの中国人は「VPN」を使って海外サイトを閲覧できるとわかっていても、自ら率先して実行しようとはしません。
ゆえに、中国では日本のようなGoogle(検索エンジン)を利用したSEO対策の概念も一切通用しないため、中国独自のWeb集客方法を講じることが必然となります。
税金・関税・販売額の規制
中国越境EC事業者が知っておくべき税金・関税・販売額の規制は、次のようになります。
日本から直送型
日本から直送型の中国越境ECを行う場合は、次の3つの知識を念頭に入れておきましょう。
- 個人輸入でも「⾏郵税」が必要
- ⾏郵税50元までは免税
- 1回の発送上限は1,000元以下
中国では、外国から個人使用とみなされる商品の輸入を行う際、荷受人が個人通関手続きを行い、いわゆる関税となる「⾏郵税」を支払わなければなりません。
2019年から施行された中国の「⾏郵税」は50%、20%、13%、3%の4段階に分けられており、輸入する品目ごとにより税率がことなります。
⾏郵税は50元までが免税となっており、たとえば13%の税金が適用される商品なら、1回に380元(約6,800円)ほどの商品を購買した場合となり、380元以上から⾏郵税を支払う仕組みです。
いずれにせよ、中国では海外からの直送品は、1回に1,000元の購入品までしか認められていません。
ただし、家電やパソコンなど、1点あたりが高額商品の場合は個人使用とみなされれば個人通関が認められることもあります。
中国国内発送型
中国では、2016年より以下6つの要件を満たす越境ECには「電商総合税」という一定の優遇措置を受けることができます。
- 販売対象は個人であること
- 中国国内ECモール出展者
- 個人使用であること
- 国外の販売業者であること
- ポジティブリストに掲載されている商品
- 取引状況を税関が監督管理できるルートであること
※参考:https://www.jetro.go.jp/world/qa/J-210602.html
上記6つの要件を満たす事業者に対しては、関税率を0%、増値税や消費税を法定額の70%に優遇され、本制度は2020年1月より適用されています。
つまり、電商総合税の優遇措置により、日本企業にとっては従来よりも中国越境ECビジネスに取り組みやすくなったといえるでしょう。
ただし、電商総合税の優遇措置を受ける場合の1回の取引額は5,000元(約9,000円)以下、かつ年間26,000元(約46,000円)以下までと決められています。
ポジティブリストは、すでに1,413品目が掲載されていますので、自社が取り扱う商品ジャンル、あるいは今から取り扱う商品の選定が該当するかを以下のURLより確認しておきましょう。
http://gss.mof.gov.cn/gzdt/zhengcefabu/201912/P020191227607915178053.pdf
追跡が可能な大手物流業者を使う
中国の越境ECでは、必ず荷物の追跡が可能な大手物流業者を選ぶことをおすすめします。
なぜなら、中国で配送コストが安くて追跡ができないような物流業者は、荷物の紛失や盗難が起こることが珍しくなく、ユーザーへ安全に商品を届けられる保証がないからです。
追跡サービスができ、信頼のおける中国の配送業者の代表例としては、日本からの直送型では「SF Express」、中国国内発送では「中通快速」などが知られています。
物流コストと品質、スピードはEC販売で最も重要な要素となりますので、信頼度の高い物流業者を選び、料金やサービス内容を確認しておきましょう。
中国における越境ECの市場状況
経済産業省の資料によりますと、中国と日本の越境EC市場規模は約1兆9,839億円です。
日本が中国から購入している金額がおよそ1兆9,499億円ですが、中国が日本から購買している金額は340億円です。
現段階において中国と日本の越境EC市場は、日本が中国から購買している金額が大半を占めていることになります。
一方、2020年時点の中国国内のEC市場規模は、11 兆 7,600 億元(約200兆円)です。
日本のEC化率が平均6.5%ほどであるに対し、中国のEC化率は約30%と高い割合を誇っています。
2020年は、新型コロナウイルスの影響で中国国内の消費全体は減少傾向にありましたが、EC市場が返ってコロナの巣ごもり需要を後押ししたためか、直近は過去最高の売上高に達しています。
中国は人口の多さや国土の広さ、そしてGDP(国内総生産)が世界No.2の経済規模に達していることを加味すれば、今後日本の越境EC事業者が最も強化すべき市場といえるでしょう。
中国越境ECの売れ筋日本製品
ここでは経済産業省の資料から、中国のEC市場で売れている日本製品を検証してみましょう。
対中国の越境ECで売れている代表的な日本製品は、以下のような商品です。
1.化粧品・美容関連雑貨
中国の越境ECで最も人気の高い日本製品は、化粧品と美容関連製品です。
中国富裕層にロングランで売れている定番商品の代表格は、マックスファクターの「SK-Ⅱ」や「資生堂」がよく知られています。
SK-Ⅱは中国の百貨店でも販売されていますが、地方や沿岸部在住の女性は入手することが困難です。
中国の富裕層女性が、日本から越境ECで化粧品を購入したいという最大の理由は「正規品を購入したいため」といわれています。
とくに、SK-Ⅱは中国のネット市場で偽物が横行しており、『日本製品は日本から入手する方が安心』というユーザーの潜在ニーズを満たせる点が越境EC市場の大きさにつながっている要因です。
2.トイレタリー・ベビー用品
世界随一の品質の高さを誇る日本製のトイレタリーも、中国ファンが多いことで知られる商品カテゴリーです。
なかでも日本のベビー用紙おむつや、ベビーグッズは『子供は宝だ』と考える中国人らしい思想に基づいているためか、価格帯の安さより品質の高い商品が売れる傾向にあります。
その他にも台所用洗剤や歯磨き粉など、手や体の重要な部分に触れるものは安心、信頼のおける日本製を使いたいという中国富裕層らしい嗜好が全面に出ているといえるでしょう。
3.健康商品
日本の健康商品も中国本土だけでなく、香港や台湾など中華圏全域で人気の高い商品カテゴリーです。
近頃は従来のメイン購買層だった富裕層だけなく、若年層が日本の健康食品を積極的に購入している動きが目立ちます。
とくに「大麦若葉の青汁」などの健康食品は、健康嗜好をもつ中国の若者に絶大な人気商品です。
越境ECでは、中国で発売されていない商品の入手や、信頼度を優先するユーザー層からのニーズが高まっています。
4.食品・飲料
食品や飲料も中国においてロングランで売れ続ける商品カテゴリーです。
若年層には「コアラのマーチ」「チョコパイ」などの日本製お菓子から「ラ王」「チキンラーメン」などのカップ麺の人気が高く、男性シニア層からは日本酒や焼酎など日本ならではのアルコール類が多く見受けられます。
さらに、近年では日本の「カレーライス」も中国で人気が高く、カレールーやレトルトカレーなどの食品、洋食嗜好の若年層を中心としたマヨネーズなど、日本ならではの調味料も人気です。
中国向けの越境ECを始める方法
中国向けの越境ECを始める方法は、以下4つのステップを踏まえることです。
- 出店・発送方法を決める
- 中国向けのECサイトを構築
- 中国に商品を移動・物流会社と契約
- 中国の決済方法を準備
【ステップ1】出店・発送方法を決める
中国越境ECを始めるには、まず出店と発送方法を決めることから開始します。
日本から国際配送を使って直送を行うのか、中国の保税区域から発送を行うのかなど、リスクや規制、税務面などを加味し、最も適切な出店方式を考案しなければなりません。
中国大手ECモールに出店する場合は、日本の窓口や代理店を活用し、出店手続きをすすめていきましょう。
【ステップ2】中国向けのECサイトを構築
自社に適した中国越境EC向けの出店方法が決まれば、次はECサイトの構築です。
大手ECモールに出店する場合は、日本のECサイトと同様に、出店者専用ページにログインし、画像やテキストを入力し、出品ページを構成していきます。
自社サイトで中国越境ECを運営する場合は、新たに中国現地でサーバーを申し込まなければならないため、中国現地のエージェントを通す方が現実的です。
もちろん、出品ページは中国語(簡体)で作成することが求められるため、中国語に堪能なスタッフがいない場合は、中国のWeb制作会社へ委託することをおすすめします。
【ステップ3】中国に商品を移動・物流会社と契約
中国の保税区域から商品を発送する場合は、事前に日本から保税区域まで商品を発送しておかなければなりません。
税制面で優遇措置を受けられるよう、越境EC向けの中国輸入手続きに精通した通関業者に荷物の配送を依頼しましょう。
同時に推し進めるべきことは、日本から直送する場合の国際配送会社、保税区域から発送する場合の中国国内の配送会社と契約することです。
前述のように、中国の配送業者は紛失や盗難のリスクが多発しているため、必ず追跡が可能で配送品質に定評のある配送業者を選びましょう。
【ステップ4】中国の決済方法を準備
ECサイトの構築と同時に進めるべきことは、決済方法の準備です。
中国では日本や諸外国のように、ネットショッピングでクレジットカードを使用するユーザーはごくわずかです。
中国ではクレジットカードよりも「WeChat Pay(ウィーチャット・ペイ)」や「Alipay(アリペイ)」などの決済ツールで支払うユーザーが多く、中国越境ECでは中国ならではの決済ツールを申し込む必要があります。
中国のECモールに出店する場合は、WeChat Pay やAlipayを自社で申し込む必要はありませんが、自社サイトの場合は個別で申し込みを行わなければなりません。
WeChat Pay やAlipayの導入は国内の代理店で申し込むことができますので、中国越境ECを開始すると決めたら早めにアカウントを作成しておきましょう。
中国の越境ECで成功する秘訣
中国の越境ECで成功する秘訣は、中国の越境ECに対するユーザーニーズを満たせるよう務めることです。
経済産業省の調査結果では、「中国の消費者が越境ECの事業者に望むこと」で50%を超える要素は以下2点となります。
- 正規品である保証
- より多様な商品
掘り下げて解説してまいります。
正規品である保証
前述の「中国で人気の日本製品リスト」からもわかるように、中国ユーザーが海外サプライヤーに求める一番の要素は、正規品である保証です。
元来、中国ユーザーとしては、中国人の個人や企業から優先して商品を買いたいものですが、残念ながら中国国内は偽物が横行している現実があります。
しかし、日本製品を求める中国ユーザーの多くは、日本製品の品質の良さや成分の信頼度に魅力を感じて購買を決意しているため、価格よりも「偽物を絶対に掴まされたくない」という強固な意志をもっています。
もちろん日本製品のサプライヤーである日本企業にとっては、偽物をわざわざ販売するメリットはありませんが、中国EC市場で人気店舗になるためには、ユーザーのニーズを満たす努力が重要です。
たとえば、出品ページに正規品であることの証明書類を添付するなど、誰の目からみても正規品であることがわかる証明を行う工夫が必要かもしれません。
より多様な商品
日本企業が中国企業を運営するECサイトに対抗するには、より多様な商品を増やすことが重要です。
日本製品を扱う中国企業は、中国人が好むニーズの把握をしやすいですが、よくみると商品点数が限られていることが多く、商品ラインナップとしては決して多くありません。
しかし、日本の最新情報を知っている日本企業なら、中国のユーザーにどんどん多様な新しい商品を迅速に紹介することが可能です。
中国現地の調査機関などを使い、ユーザーが好む嗜好、トレンドなどをいち早くキャッチし、中国内国企業がカバーできない日本企業ならではの強みを増やしていきましょう。
日本企業が出店しやすい中国越境ECおすすめサイト3選
ここでは、日本企業が出店しやすい中国のおすすめ越境ECサイトを3つご紹介します。
T-Mall
出典:T-Mall(天猫)
T-Mall(天猫)は、アリババグループが運営する中国最大のECモール「タオバオ(淘宝)」と連携しているECモールです。
日本企業であっても本体のタオバオに出店することも可能ですが、タオバオは中国内国企業向けのECサイトのため、海外企業の出店方法としては不向きといわれています。
しかも、T-mallは「正規品、本物100%」をコンセプトにしているため、運営元が商品の本物・偽物を厳しくチェックされることで知られており、ECサイト自体の信頼度に定評があります。
現在、中国の日本製品の需要増により、T-mallの日本企業出店が推進されており、以前より出店ハードルが低くなっていることも大きな特徴です。
T-mallへの出店方法は「日本からの直送型」「保税区からの発送型」「中国国内拠点の発送」と3パターンありますが、中国国内拠点の発送方式を採用する場合はT-mallが定める越境ECには該当しません。
T-mallへ出店するには、在日本のアリババジャパンが日本語で完璧なサポートを行ってくれます。
くわしくは、以下のアリババジャパンの窓口までお問合せください。
https://www.alibaba.co.jp/contact/
JD.com
出典:京东全球版
JD.com(京東商城)とは、今や世界レベルのIT企業に成長したテンセントグループが運営する中国第2位のECモールです。
テンセントグループといえば、中国最大級のSNS「We Chat」の運営元として有名ですが、メインの購買層としては中間層から上の所得層が対象といわれています。
現在、JD.comも日本企業の出店者招致を強化していますが、出店者は何らかのブランドを保有、あるいはメーカーや生産者の企業であることが前提です。
そのため、現段階においては日本の楽天市場やYahoo!ショッピングのように、いわゆるセレクトショップとしての出店は認められていません。
日本企業がJD.comに出店する方法は、JD.com本体に出店、JD Worldwide(全球購)に出店の2つに分かれており、どちらも海外企業である証明書類が必要です。
JD.comへの出店に際しては、中国の法令や規制を熟知した日系の現地代理店を通じて申し込みを行った方が時間と手間が削減できます。
インターネットや中国ビジネスのセミナーなどを通じ、優良な代理店をみつけましょう。
WeMart
WeMart(ウィーマート)とは、TTU株式会社が運営する中国最大級のSNS「We Chat」を使った越境ECソリューションです。
従来だと、日本企業の中国越境ECの参入方法は、大手モールに出店すること一択でしたが、WeMartは従来型の常識を全て外した新しい方式となります。
現段階におけるWeMarのデメリットは集客面の弱さですが、大手モールに出店する費用やマージンなどを含めると、中国越境ECへの参入ハードルが低い方法です。
WeMartは在庫リスクの低い日本からの直送型事業モデルに限定しており、運営元の意向としては、大手企業だけでなく、小規模事業者の出店を数多く集めたい方針を取ろうとしています。
中国には、まだまだ日本のニッチな商品を購買したい層がたくさんいるため、WeMartへの出店で中国ニッチユーザーとのマッチングが期待できるかもしれません。
まとめ
今回は、中国越境ECについての基礎知識、市場分析~始め方・成功する秘訣までお話させて頂きました。
まとめますと、中国越境ECとは、中国国外の事業者が国境を越えて中国ユーザーにEC販売を行うことです。
中国越境ECの事業モデルは、中国ならではのネット規制を加味すると、以下3つが有力な選択肢となります。
- 中国ECモールに出店
- 中国で自社サイトを開設
- 中国のSNSを活用する
中国向け越境ECを始める前の注意点は以下の3つです。
- 中国独自のネット規制
- 税金・関税・販売額の規制
- 追跡が可能な大手物流業者を使う
中国向け越境ECにおける「税金・関税・販売額の規制」で知っておくべき知識は、以下のようになります。
▼日本から直送型の場合
- 個人輸入でも「⾏郵税」が必要
- ⾏郵税50元までは免税
- 1回の発送上限は1000元以下
▼中国国内発送型
中国では2016年より以下6つの要件を満たす越境ECには、「電商総合税」という一定の優遇措置を受けることができます。
- 販売対象は個人であること
- 中国国内ECモール出展者
- 個人使用であること
- 国外の販売業者であること
- ポジティブリストに掲載されている商品
- 取引状況が税関が監督管理できるルートであること
中国向けの越境ECを始める方法は、以下4つのステップを踏まえることです。
- 【ステップ1】出店・発送方法を決める
- 【ステップ2】中国向けのECサイトを構築
- 【ステップ3】中国に商品を移動・物流会社と契約
- 【ステップ4】中国の決済方法を準備
中国の越境ECで成功する秘訣は、中国の越境ECに対するユーザーニーズを満たせるよう務めることです。
経済産業省の調査結果では、「中国の消費者が越境ECの事業者に望むこと」で半数を超える要素は以下2点となります。
- 正規品である保証
- より多様な商品
上記を踏まえ、日本企業が出店しやすい中国のおすすめ越境EC向けサイトは以下の3社です。
- T-Mall(天猫)
- JD.com(京東商城)
- WeMart(ウィーマート)
中国越境ECは、まだまだこれから市場拡大が見込める魅力的な市場であり、日本企業が参入できる可能性は十分にあります。
ただし、中国越境EC市場に参入するには商習慣の違いや税制、法務などの理解、ネット規制の知識習得と同時に、リスク面も踏まえ、あらゆる側面からよく検討するべきです。
自社で知識や実務を知る人材が不足している部分は、外部の専門家と連携することで強固な国境の壁を超えることも不可能ではありません。
中国越境ECは、まだまだ日本企業にとってはハードルが高いイメージがありますが、日々研究と最新知識の習得を駆使し、自社にとって理想の参入方法をみつけてください。
まずは無料でご相談ください。
お問い合わせ・ご相談や、公開後の修正依頼などに関しては、いずれかの方法にてお問い合わせください。
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