ネットショップの商品画像は著作権に要注意!OK・NGの使い方・媒体別ルールを一挙公開
『ネットショップの商品画像は他社から拝借してきた方が早い』
『仕入れ先さんのホームページに掲載していた画像なら文句言われないでしょ』
ひょっとして、このように安易に考えてしまってはいませんか?
実は商品画像を他社から無断で転載する行為は「著作権侵害」という立派な犯罪なのです。
今回は、知らなかったでは済まされないネットショップ商品画像の「著作権」について、著作権侵害に抵触するNG例、回避できるOK例と共に徹底解説致します。
また、コラム記事の後半では各媒体別の商品画像著作権のルールを公開していますので、あわせて参考にしてください。
※今回のコラム記事で掲載している情報は、記事公開時点(2021年5月19日)のものです
ネットショップ運営では商品画像の著作権に要注意
ネットショップの運営では、商品画像の著作権に厳重な注意が必要です。
なぜなら、第三者が撮影した画像を自社のECサイト内に無断で転載してしまった場合は「著作権侵害」という法律違反に該当するからです。
著作権侵害とは、他人の著作物を無断で利用(転用、コピーなど)することです。
著作権を侵した場合は著作者(権利者)から損害賠償を求められたり、最悪の場合は刑事罰の対象となるほど厳重な処分を受けることになります。
そのため、著作権侵害に抵触する行為は、安定したネットショップ運営を行う上で絶対に避けるべきなのです。
著作権とは?わかりやすく解説
著作権とは、著作権法という法律で定められた「著作物」(作品)を創作した人が持つ創作者(著作者)を保護するための権利です。
著作物は思想や感情を創作的に表現したものを指し、写真以外の身近な例としては小説、音楽、絵画、漫画、映画などが該当します。
著作権は行政や省庁に何か特別な届け出や手続きを行うようなものでなく、著作者が創作を行った時点で自動的に発生する権利です。
著作者は著作物の利用者から使用料を受け取ることができ、使用者から受け取った報酬でまた新たな著作物を生み出し、日本文化の発展が循環していく仕組みとなっています。
著作権には著作人格権と著作財産権の2種類に分かれており、著作財産権は他人に譲り渡すことができますが、著作人格権は著作者が生存している限りずっと本人が持ち続ける揺るぎない権利です。
著作権(財産権)の譲渡は、複製権や上演権など様々な項目に分かれており、他人の著作物を使用する場合はどこのどういった目的に使うのかなどを厳重に明記することが義務付けられています。
ネットショップで著作権侵害に抵触する商品画像の使い方
ネットショップで著作権侵害に抵触する商品画像の使い方は、以下のようなケースがよく見受けられます。
- 競合他社の掲載画像を無断で転載
- 有名芸能人やキャラクター画像の無断転載
- 仕入れ先企業のホームページ掲載画像を無断で転載
競合他社の掲載画像を無断で転載
インターネット上では自社と同様の商品を出品している競合他社は無数に存在します。
同じ商品を同じような価格帯で出品している業者とバッティングすることも珍しくなく、 使用している画像の違いだけで自社より他社に顧客が流れてしまうことも珍しくありません。
だからと言って、自社より売れ行きの良さそうな競合他社の画像を無断でコピーし、自社の出品画像として勝手に使用してしまうことは著作権侵害に抵触します。
有名芸能人や有名キャラクター画像の無断転載
有名芸能人や有名キャラクターが使われた画像を無断で転載する行為も厳重な注意が必要です。
有名芸能人やキャラクターを使った画像は大手企業が契約しているCM画像のため、無断転用が発覚した場合は著作権をもつ大手企業と芸能事務所、キャラクター著作権管理会社の両方から巨額の損害賠償を求められるトラブルに発展する恐れがあるためです。
有名芸能人や有名キャラクターを使った画像で出品すると、売れ行きが全く変わるのも事実ですが、トラブルが起きた場合の代償は果てしなく大きいため、くれぐれも安易な使用は差し控えるようにしましょう。
仕入れ先企業のホームページ掲載画像を無断で転載
『仕入れ先企業の画像なら商品を購買しているのだから使っても良いはず』
ネットショップ事業者の中には、上記のような解釈をされている方が少なくありません。
しかし、たとえ商品の仕入れ先のホームページに掲載している画像であったとしても、当該企業からの使用許可を得ずに無断で使用した場合は著作者侵害に該当するので注意が必要です。
ネットショップで商品画像の著作権侵害を回避する方法
ネットショップで商品画像の著作権侵害を回避するには、以下のような方法が挙げられます。
- 自社で撮影
- 社内専属カメラマンのいる代行業者に委託
- 仕入れ先から正規に商品画像使用許可を得る
自社で撮影
ネットショップで使う商品画像の著作権侵害を回避するには、100%自社で撮影を行うことが最も安全な方法です。
商品画像の撮影はコツを心得ればスマホでも簡単に撮影できるため、競合他社と差別化を図るためにも自社のオリジナル撮影にぜひトライしてみましょう。
社内専属カメラマンのいる代行業者に委託
社内での撮影がどうしても難しい場合は、ネットショップ専門の撮影代行業者を活用するのも1つの有効な手段となります。
しかし、撮影代行業者を使う場合は1点注意点があります。
それは、撮影代行業者との契約前に担当カメラマンが撮影代行業者の専属かどうかを確認することです。
撮影代行業者の中には外注カメラマンに委託するケースも少なくなく、外注カメラマンが画像の著作権を訴えてくることも無いとはいい切れないからです。
撮影代行業者と会社が結んだ著作権の契約が無効になることも否定できないため、必ず撮影代行業者に撮影を委託するときには、担当カメラマンと著作権について条件をクリアにしておきましょう。
仕入れ先から正規に商品画像使用許可を得る
仕入れ先から正規に商品画像の使用許可を得られるのであれば、社内で撮影する手間や予算を削減できる有益な手段となります。
また、仕入れ先企業のホームページなどに画像のデータを保有していたとしても画像の著作権は第三者が保有していることもあるため、必ず無断で使用せず、画像の著作権は誰がもっているかを確認した上で使用するようにしましょう。
ネットショップ媒体別・商品画像著作権に関するルール
ここでは、ネットショップ媒体別に商品画像著作権に関するルールをみていきましょう。
楽天市場
出典:楽天市場
楽天市場では、モール内での画像無断転用が発覚した場合、運営局が厳格に対処を行っています。
モール内の無断画像転用をみつけた出店者は、専用の問い合わせ窓口(権利者侵害通知窓口)のWebページから転用されているWebサイトのURLなど必要項目を入力し、楽天市場運営局に送信しましょう。
楽天市場運営局が画像転用を行った方の事業者に画像の削除を求めるなど、適切な措置を行ってくれます。
Amazon
出典:Amazon
Amazonでは、モール内に掲載する商品画像を画像の法的権利者から許可を得た上で使用することを原則としています。
主な規約としては以下3つの要素に該当する事業者に定めています。
- Amazon.co.jp内に使用する画像の権利者自身
- Amazon.co.jp内に使用する画像がいかなる第三者の権利被害が発生しない
- Amazon.co.jpの会員、関連Webサイトに画像が提供されることに同意、表明、保証する
Amazonでは、楽天市場のように運営元が他店に削除依頼を行うなどの対処は行っていませんが、仮に違反した場合にはアカウント停止や削除などの措置を取られることがあります。
※参考:画像の権利
メルカリ
出典:メルカリ
メルカリでは、他会員の画像や文章を無断で使用することは禁止されています。
商品画像だけでなく、プロフィール画像や運営元が不適切と判断した画像なども同様です。
違反が発覚した場合は、運営元から取引キャンセル・商品削除・利用制限などの措置を取られることになるため、注意が必要です。
Yahoo!ショッピング・ヤフオク!
出典:Yahoo!ショッピング
出典:ヤフオク!
Yahoo!ショッピングでは、著作権に違反している画像の使用が発覚した事業者には商品ページの削除、サービスの利用停止など厳格に対処しています。
※参考:知的財産権保護ガイド
ただし、同じYahoo! JAPANグループのヤフオク!では、Webサイトの性質上のためか、自身の画像を転載された場合でも運営局が直接何らかの措置を行ってくれることはありません。
画像の転用などが発覚した場合はヤフオク!ヘルプにある「出品者への質問」のWebページを参考にして、画像転用した出品者に直接クレーム、削除依頼を送信し、自身で対処することになります。
自社の画像を他社に無断で使用されていた場合の対処法
自社で撮影を行う場合は、反対に他社に画像を無断で使用されることも十分に考えられます。
せっかく自社で苦労して撮影した画像を他社のネットショップに安易に無断で使われてしまっては心穏やかではありません。
自社の画像を他社に無断で使用されていた場合は、次の3つのような対処法が挙げられます。
- モールの運営元に相談する
- メール・文書で警告を送る
- 損害賠償請求を行う
モールの運営元に相談する
楽天やAmazonなど大手ショッピングモールに出店している場合は、モールの運営元に相談することが一番の解決策です。
モールの運営元が競合他社に向けて画像の削除依頼、注意警告など適切に対処してくれるため、自社では動かず、運営元に全て一任しましょう。
メール・文書で警告を送る
自社サイトでのネットショップ運営の場合は、画像の転載を行った事業者にメールまたは文書で警告書を送ることが適切です。
文書の内容としては単に画像を削除して欲しいのか、損害賠償を請求したいのかによっても変わるので、テンプレートを配布しているWebサイト(※)などを参考にし、必要な箇所の文言を変更して使用するといいでしょう。
損害賠償請求を行う
自社が撮影した画像を勝手に転用されたことで多額の損害を被ったと判断した場合は、画像の転載を行った事業者に損害賠償請求を行うことも可能です。
損害賠償請求額は、実質的な被害を受けた金額によってことなりますので、訴訟を行う場合は弁護士など法律の専門家に相談し、彼らの指示に従って対処を行うようにしましょう。
まとめ
今回はネットショップ商品画像の「著作権」について、著作権侵害に抵触する例、回避策の例と共にお話しました。
まとめますと、ネットショップの運営では商品画像の著作権に厳重な注意が必要です。
著作権とは、著作権法という法律で定められた「著作物」(作品)を創作した人が持つ創作者(著作者)を保護するための権利です。
ネットショップの商品画像では、第三者が撮影した画像を自社のECサイトに無断で転載する行為は「著作権侵害」という法律違反に該当することになります。
ネットショップで著作権侵害に抵触する商品画像の使い方は、以下のようなケースがよく見受けられます。
- 競合他社の掲載画像を無断で転載
- 有名芸能人やキャラクター画像の無断転載
- 仕入れ先企業のHP掲載画像を無断で転載
ネットショップで商品画像の著作権侵害を回避するには、以下のような方法が挙げられます。
- 自社で撮影
- 社内専属カメラマンのいる代行業者に委託
- 仕入れ先から正規に商品画像使用許可を得る
ネットショップ媒体別の商品画像著作権に関するルールは、以下のようになります。
- 楽天市場
-
運営元が対処・転載者に削除依頼
- Amazon
-
画像使用は権利者のみ・違反するとアカウント停止
- メルカリ
-
出品情報の停止・アカウント停止
- ヤフーショッピング
-
出品情報の停止・アカウント停止
- ヤフオク!
-
出品質問欄などを利用して自身で対処
自社の画像を他社に無断で使用されていた場合は、次の3つのような対処法が挙げられます。
- モールの運営元に相談する
- メール・文書で警告を送る
- 損害賠償請求を行う
著作権侵害は権利者から損害賠償を請求されたり、刑事罰の対象となる恐れがある違法行為です。
安定してネットショップ運営を行うためにも、法律違反に抵触する恐れのある行為は避け、自社撮影や正規の画像使用許可を得るなどの方法でコンプライアンス重視の運営を心がけましょう。
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