ECサイトとは?意味を新時代の活用事例と共に簡単解説
『ECサイトとは「ネットショップ」のことでしょ?』
昨今、ECサイトは「ネットショップ」、「eコマース」などシーンによって様々な名称が使われるため、本来の意味や違いがよくわからなくなってきているはずです。
実は「ECサイト=ネットショップ」ではなく、ネットショップはECサイトの一部に過ぎないのです。
今回はECサイトの正しい意味と共に作り方、運営方法など基礎知識<を新時代の活用事例と共にわかりやすく解説致します。
ECサイトとは?わかりやすく簡単に解説
ECサイトとは英語のElectronic Commerce(エレクトロニックコマース)の略称です。
別名では「Electronic」部分を略してE-commerceイーコマースとも呼ばれ、インターネット上で商品を販売、分配、売買することを指します。
ECサイトはBtoC(企業→個人)のネットショップを想像される方が少なくありませんが、BtoB(企業間同士)、CtoC(個人同士)のネットオークション、オンライントレード、コンテンツ配信なども含まれます。
一方、ECサイトを日本語で訳すと「電子商取引」となりますが、会話中で用いる「電子商取引」は「ECサイト」や「ネットショップ」と必ずしも同じニュアンスではありません。
電子商取引とはインターネットに限らず電話回線を使った専用線EDIやVPNなども含むため、ECサイトはあくまで電子商取引の一部であると考えれば理解が早くなります。
ECサイト3大ビジネスモデルを知っておこう
ECサイトのビジネスモデルは売り手と買い手の相互関係により主に以下3つに分かれています。
- B to C
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B to Cとは「Business(企業)to Customer(顧客)」の略称で、企業から一般消費者に向けた販売形式のことを指します。
ECサイトの最も典型的なビジネスモデルであり、いわゆる「ネットショップ」と聞けば即座にイメージするのがB to Cです。
代表的なものとしては楽天市場、amazonなどが挙げられますが、モールに属さないオリジナルショップであっても一般ユーザー販売チャンネル向きのサイトなら「B to C」に該当します。
- B to B
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BtoBとは「Business(企業)to Business(企業)」の略称で、企業間同士の販売形態のことです。
BtoBはB to Cと比べると存在自体の知名度は低いですが、既存の取引をECサイトで効率化する企業も増えており、市場規模は300兆近い非常に大きなマーケットです。
代表的なものとしてはアスクルや大塚商会などのオフィス用品サイト、中国のアリババなどが挙げられます。
- C to C
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CtoCとは「 Customer to Customer」の略称で、ここでの「Customer」は顧客という意味合いではなく個人間同士の販売形式を指します。
代表的なものとしてはメルカリ、ヤフオク、ebayなどフリマアプリやオークションサイトなどが挙げられます。
市場規模はB to CやB toBに比べるとまだ大きいとは言えませんが伸び率が著しく、今後さらなる市場拡大が期待できると言われています。
ECサイトの市場規模【販売形態別】
経済産業省の発表によりますと、ECサイトの市場規模は年々拡大傾向にあります。
ここではECサイト販売形態別の市場規模をみていきましょう。
B to Cの市場規模
国内における一般消費者販売向きB to Cの市場規模は2019年時点で19.4兆円。
2017年~2019年度の国内GDP伸び率はわずか1%にも達しませんでしたが、ECサイトの市場は一兆円単位で拡大しています。
これは以前にも増してECサイトが日本人の生活に密着してきている証とも言えるでしょう。
2020年の新型コロナの影響による生活習慣の変化により、ECサイトはさらなる市場規模の拡大が期待されています。
表の赤字グラフはEC化率を示したものです。
EC化率とは売上に対しEC(電子商取引)で取引された指標のことで、2019年時点6.76%と2010年時点と比較すると約3%上昇しています。
業種別では食品系、自動車系が2.8%前後と低めとなっており、事務用品、PC周辺機器、書籍などは30~40%と高い割合を示しています。
今からECサイトの開設を検討されている方は、上記のような「EC化率の低い業種」が狙い目かもしれません。
B to Bの市場規模
企業間同士のB to Bの市場規模は2019年時で352兆9620億円です。
一般消費者向けに販売するBtoCのおよそ20倍の巨大マーケットであり、ここ5年間の推移をみても顕著な伸び率を見せています。
ただし、この数字には特定の企業間同士で取引を行う「EDI(electoronic data interchange)」 という電子商取引専用システムでのやり取りも含まれています。
EC化率は31.7%と国内企業の30%がECサイトでの取引を導入していることになりますが、EDIの数字を含めての30%ですのでBtoBはまだまだ新規参入の余地がある市場なのです。
また、業種別で見ますと「小売」「不動産・建設」「食品」業界が上位を独占しており、今からはそれ以外の業界向けの新規参入に大きなビジネスチャンスがあるかもしれません。
C to Cの市場規模
C to C(個人間同士の売買)の市場規模の推計は2019年時で1兆7407億円です。
個人間同士の取引のため経済産業省でもこの数字はあくまで「推計」での発表としていますが、伸び率9.5%とBtoCよりも急速に市場が拡大していることがわかります。
CtoC市場が飛躍的な伸び率である代表例は「メルカリ」です。
従来の個人間同士の売買形態と言えば「ヤフオク」などのネットオークションが主流でした。
現在東証一部上場を果たしたメルカリは「価格を競らずに個人間売買」という新たなビジネスモデルを確立しました。
メルカリのビジネスモデルが世に浸透して以来、CtoCは本やアニメグッズなど「専門特化型CtoCサイト」が市場を扇動しています。
専門特化型CtoCは現段階ではホビー系に集中していますが、新たなカテゴリーで新規参入を狙う余地はまだまだ残されています。
ECサイトの運営に必要な業務
ECサイトの運営に必要な業務は主に次の4つのカテゴリーに分けることができます。
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カテゴリー | 主な業務 |
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商品マーケティング業務 | ・商品企画 ・仕入れ |
Web関連業務 | ・出品作業 ・WEB制作・更新関連業務 ・集客・プロモーション |
顧客対応業務 | ・WEB制作・更新関連業務 ・集客・プロモーション |
在庫・商品管理等のバックヤード業務 | ・検品、梱包、配送業者の振り分け作業 ・商品の棚卸し |
商品マーケティング業務
商品マーケティングの主な業務は「商品企画」と「仕入れ」です。
- 商品企画
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ECサイトビジネスの明暗を分ける最も重要な業務が商品企画です。
オンラインで売買取引を行うECサイトは購買側が現物を手に取って商品を確認することができません。
ECサイトで安定した売上を叩き出すには季節やトレンドを踏まえた商品をリサーチすることはもちろんですが、現物を確認できないことを踏まえたECサイトならではの商品企画、マーケティング力が求められます。
- 仕入れ
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ECサイトでは商品企画と同時に仕入れ方法の工夫も肝心です。
ECサイト運営にかかる販売手数料や様々なコストを考慮し、自社の適正利益、仕入れ原価を綿密に算出する必要があります。
また、欠品が出ると販売機会を失いかねないため、予め複数の仕入れルートを確保しておきたいものです。
Web関連業務
Web関連の主な業務は「出品作業」と「WEB制作・更新関連業務」「集客・プロモーション」です。
- 出品作業
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出品作業とはECサイトに掲載する商品情報ページの作成作業です。
画像撮影、画像加工、採寸、商品説明の文章作成、サイトへの登録作業などが該当します。
ECサイトの売上は画像の品質で80%決まると言われるほど手を抜くことのできない重要な作業です。
これらの作業は外部へ委託することも可能ですが、ECサイトは商品点数の多さと売上がある程度比例するため、全ての出品作業を業者へ委託するとコストが嵩むことも考慮しておきましょう。
- WEB制作・更新関連業務
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ECサイトの運営では出品作業以外にも様々なweb関連の作業が必要になります。
トップページの更新、ユーザーが買い物しやすい環境を整えるためのユーザビリティ、キャンペーン用のバナー制作などが該当します。
これらの業務は作業によっては専門知識が要求されるため開設時に更新作業込で業者に委託する手もありますが、更新作業が簡略化されたパッケージサービスを選ぶのも選択肢の1つです。
- 集客・プロモーション
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ECサイトの集客、プロモーションはサイトの特性に応じた方法を考案する必要があります。
楽天市場やAmazonなど大手ショッピングモールへ出店する場合は媒体元の広告枠を買うのが王道ですが、独自ドメイン型の場合は自社で集客方法を考えなくてはなりません。
定番の集客・プロモーション方法としてはSEO対策、リスティング広告、ブログ、SNSなどが挙げられます。 ただ、予算をかけていればキリがありませんので中長期的なスパンで費用対効果の高い方法を見分けていくべきです。
在庫・商品管理等のバックヤード業務
在庫管理とはECサイトに出品中の商品在庫の管理を過不足なく行うことです。
発送前の検品、梱包、配送業者の振り分け作業、商品の棚卸し作業などの業務が該当します。
これらの業務は商品点数が増えてくると自社では管理しきれないため、近年では運送業者など外部の専門業者に委託して効率化を計る事業者のケースが目立ちます。
顧客対応関連業務
顧客対応関連の主な業務は「受注・代金回収管理」と「顧客対応」です。
- 受注・代金回収管理
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お客様からの注文を受けた後には受注管理、商品代金の回収作業が発生します。
お客様へ受注のお礼、取引の流れをお知らせするメールなど在庫から商品発送手配までに繋げる業務などミスの許されないきめ細やかさが要求されます。
商品代金の回収とは銀行振込がご希望のお客様には振込口座のご案内、入金確認、コンビニ決済後払いの場合は与信審査を通すなどの業務が該当します。
- 顧客対応
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顧客対応は店の顔となるECサイト運営における必須業務です。
競合が激化するEC市場において、顧客対応の品質はサイトの売上を左右すると言っても過言ではありません。
基本的にはお客様からの商品や配送状況に関する問い合わせをメール、チャット等のテキストツールを用いて行います。
時には商品の使い方のアドバイス、お悩み解決、クレーム対応も業務の内であり、必要時には音声通話などを使ってできる限り対面販売と同等の購買環境を提供する工夫を行うことが求められます。
ECサイトの種類
ECサイトは主に次の5つの種類に分かれています。
- Amazon・楽天市場などのモール型
- ASPカート型
- クラウド・パッケージ型
- オープンソース型
- フルスクラッチ型
ここではECサイトの種類について解説していきましょう。
Amazon・楽天市場などのモール型
モール型とはインターネット上の大きなショッピングモールの中に出店するネットショップのことです。
代表的なものではAmazon Japan、楽天市場、ヤフーショッピング、au payマーケット、q10などが挙げられます。
モール型は既にECサイトとしてのシステムが完成しているため、web知識の全くない初心者でも簡単にネットショップを作ることができます。
モール型に出店する最大のメリットは圧倒的な集客力と知名度です。
大手ショッピングモールは既に多くの人に認知されており、独自の会員を保有しているため自身で集客を行う手間が最小限で済みます。
デメリットとしてはサイトによって維持費などのランニングコストが発生すること、顧客名簿を外部へ持ち出すことができないことです。
ASPカート型
ASPとは「 Application Service Provider(アプリケーションサービスプロバイダー)」の略称で、 アプリケーションソフトをネット経由で提供するプロバイダ業者のことです。
ECサイトにおけるASPカート型とはサーバーを独自で用意する必要がなく、提供されたクラウド上のシステムを利用する方式です。
代表的なものではBASEやカラーミーショップ、GMOのMake Shopなどが挙げられます。
ASPカート型を用いたECサイトの作り方もモール型と同様に比較的簡単で、多くはカートや決済・配送などネットショップ構築に必要な機能は標準装備されているものが多く見受けられます。
ASPカート型を使うメリットはモール型に比べて初期費用が安く済み、システムのアップデートもASP側が行ってくれる点です。
デメリットしてはモール型と同様、デザインやシステムの独自カスタマイズがしにくいことです。
クラウド・パッケージ型
クラウド型とは字のごとくクラウド上でECサイトを構築する方式です。
クラウドと言えばASPカート型も同様ですが、クラウド・パッケージ型は顧客管理、集客ツールなどECサイトに必要な全ての機能がパッケージされたものです。
クラウドパッケージ型は最新システムを使いながらデザインやカスタマイズ性が高いサイトを構築できるため、他社との差別化を図ることができます。
クラウドシステムを使うメリットはサーバー数の増減がしやすいため、繁忙期などに起こる突然のサーバーダウンに強い点です。
デメリットとしては導入費用やインフラ設備の構築に投資が必要となる点です。
そのため、クラウドパッケージ型は年商数億円~50億円以上の規模の企業様に向いている方式となります。
オープンソース型
オープンソース型とは、ライセンス費用などがかからず無償で商用利用が可能なソフトを利用した方式です。
モール型やASPカート型に比べカスタイマイズ自由度が高いのが特徴ですが、サーバーインストール、セキュリティ保守などの技術的な作業を自社で行うことになります。
オープンソース型のメリットは、ソースコートがもらえるので社内に技術者がいればコストを安く、幅広いカスタイマイズが行えることです。
デメリットとしてはセキュリティやシステムの更新に知識が必要なため、社内に技術的なことがわかる人材がいない場合は別途更新費用が必要になる点です。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型とは既存のパッケージシステムなどを使用せず、ゼロから完全オリジナルでECサイトを構築する方式です。
一番のメリットは全てを一から作り上げる完全オリジナルであるため、他社と絶対競合しない「自社だけのオンリーワンサイト」が作れることです。
デメリットとしては時間と労力、費用が莫大にかかる点です。
ゆえにフルスクラッチ型は小規模事業者には不向きな方式であり、大企業向きの構築方法と言えます。
ECサイトはもう別事業じゃない!新時代の活用事例
『ECサイトを開設・運営するには費用も人手もかかるし…まだ先で良いかな』
このようにECサイトの開設、運営とは「別事業として新たに取り組むもの」とお考えの方が少なくありません。
しかし、ECサイトはもはや本業と別事業を分けて取り組むものではなくなっています。
新時代におけるECサイトとはネットショップ、実店舗など販売チャンネルの垣根を外し、全てを連携させて売上アップを計る「新たな販売戦略ツール」として活用すべきなのです。
この戦略は「オムニチャネル」と呼ばれ、ECマーケティングの本場アメリカで確立された手法であり、国内でも既に大手企業を始め多くの販売事業者が取り組みを始めています。
オムニチャネルとは主に次のような様々なチャンネルでお客様との接点を持ち、消費行動を一元管理することです。
- 実店舗
- ネットショップ
- モバイル
- SNS
- コールセンター
- カタログ・DM
- イベント
では、このオムニチャネル化を見事に成功させている企業の具体例をみていきましょう。
ユニクロ
出典:UNIQLO
今や世界ブランドに成長したアパレル大手企業・ユニクロ。
ユニクロはアパレル業界でオムニチャネルをいち早く導入し、実店舗とECサイトの融合を見事に成功させています。
ユニクロアプリは消費者がネットで見つけた商品を全国の実店舗にある店頭在庫と連動させ、店舗・ECサイトのどちらからでも購買することが可能です。
店頭に訪れたお客様にもECサイトを使ったフォローアップを行っており、店舗に希望のサイズや色が無かった場合には店頭で決済し、自宅で商品を受け取れるシステムにしています。
さらにユニクロでは全国のコンビニで商品が受け取れるサービス、AIチャットによる買い物アシスタントサービスなど多方面から販売機会損失を防ぐための施策を行っています。
資生堂
出典:ワタシプラス
化粧品・医薬品部門のEC化率は2019年時点でわずか6%と他業種に比べて、やや遅れをとっています。
しかし、大手化粧品メーカー資生堂では難しいと言われる美容コスメ業界のオムニチャネル化を見事に実現して早くも話題となっています。
資生堂では「Beauty&co」「watashi+(ワタシプラス)」という2つのECサイトを活用しています。
「Beauty&co」では美容・コスメ業界のあらゆる情報を発信するブログ形式による専門情報サイトで商品販売を一切行わず、コスメに関する消費者の潜在ニーズを引きだす戦略です。
「watashi+(ワタシプラス)」は資生堂商品の価値を多方面からアピールする趣向となっており、メイク法のセルフチェックや音声通話による専門担当者とのカウンセリング付で商品の購入が可能です。
また、実店舗にもそれぞれのサイトから経由したユーザーを誘導できるため、来店前に購買意欲をある程度固めて来店する顧客を効率的に囲い込むことができます。
スターバックス
オムニチャネルの活用例は物販業界だけではありません。
今やECサイトは店舗オペレーションの効率化を図る有効な手段の1つとしても活用できるのです。
私達の身近で最もわかりやすい成功事例がスターバックスです。
繁華街中心部にあるスターバックスの店舗では、常にレジが長蛇の列となっていることが少なくありません。
スターバックスではこの状況を改善すべく、2019年から来店前にモバイルで注文と決済が済ませられる「mobile order pay」を導入しています。
顧客が来店前に注文と決済を済ませ、店頭で商品を受け取るだけであれば並んだり長時間待つこともなく、双方にとって効率的です。
また、スターバックスではアプリ内のコンテンツを充実させており、顧客とのコミュニケーションを幅広く取ることで新商品の開発や試飲体験など新たなプロモーションにも活用しています。
まとめ
今回はECサイトの正しい意味や基礎知識と共に新時代の活用事例も含めお話させて頂きました。
まとめますと、ECサイトとはインターネット上で商品を販売、分配、売買することの総称を指します。
主なビジネスモデルは以下3つの形式があります。
- B to C (企業→顧客)
- B to B(企業→企業)
- C to C(個人→個人)
ECサイトの種類・作り方には様々な形態があり、主に次のような方式があります。
- モール型
- ASPカート型
- クラウド・パッケージ型
- オープンソース型
- フルスクラッチ型
上記いずれの形態にもそれぞれメリット、デメリットがあるため、自社の現状と用途を踏まえて総合的に判断する必要があります。
一方、今やECサイトは別事業として取り組むものではなくなっています。
新時代におけるECサイトの運営はSNS、モバイル、実店舗と様々なチャンネルとの垣根をなくし、消費者の購買意欲をあらゆる方面から囲いこむ施策として活用できます。
ECサイトはGDP鈍化が懸念される日本経済において着実な成長を続けている市場です。
これから開設・運営を検討されている個人や企業にとって新たなビジネスチャンスのきっかけに繋がる有効な手段となるでしょう。
まずは無料でご相談ください。
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