アパレルネットショップの開業方法を徹底解説!手順・資金・仕入れ方法までプロが直伝
『アパレルのネットショップを開業するには?』
『アパレルのネットショップで販売する商品の仕入れ方法が知りたい!』
ファッション好きなら誰もが一度は憧れるのが、アパレルネットショップの開業です。
アパレルのネットショップを開業するにはいくらかかって、何が必要なのか、気になるはずです。ご安心ください。
今回は、アパレル業界20年のプロが、アパレルネットショップ開業の手順・資金・仕入れ方法など、プロならではの視点で丸ごと解説致します。
このコラム記事を読めば、アパレルネットショップ開業に必要な全ての項目がわかります!
アパレルネットショップ開業の基礎知識
アパレルのネットショップを開業にあたり、知っておくべき基礎知識は以下の5つです。
- ビジネスモデル
- 利益率
- サイト構造
- 必要な資格・届け出
- 心構え
ビジネスモデル
アパレルのネットショップで代表的なビジネスモデルは大きく分けて、次の3つに分かれます。
- 買取り型(有在庫販売)
- 委託型(無在庫販売)
- 直製造直販型(DtoC)
買取り型(有在庫販売)
買取り型とは、別名「有在庫販売」とも呼ばれ、仕入れ先から商品を買い取って販売を行う、アパレルのネットショップで最もスタンダードなビジネスモデルです。
買取り型のメリットは、まとめ買いを行うことで商品を安く仕入れられることや、在庫を手元に置いて販売できることから、顧客からの信頼が得やすく、早期に売上を伸ばしやすい点です。
デメリットは、仕入れ資金が常に必要になることと、仕入れるべき商品の選択を誤ると、不良在庫を抱えてしまうリスクもあります。
委託型(無在庫販売)
委託型とは、メーカー、問屋などの仕入れ先から商品在庫を一定期間預かる、あるいは商品の在庫情報のみを共有して、売れてから仕入れ先に発注を行うビジネスモデルです。
別名「無在庫販売」とも呼ばれており、アパレルのジャンルに限らず、近年ネット販売で人気が高まっている販売方式となります。
委託型でアパレルのネットショップを運営するメリットは、開業資金を大幅に削減できることと、商品を買い取る必要がないため、商品点数をかんたんに増やせる点です。
デメリットは、全国の同業者も同じ商品情報を共有しているため、オンライン上で競合することとなり、他社との差別化が測りにくく、売上が上がりづらい側面があります。
直製造直販型(DtoC)
直製造直販型とは、自社で商品の企画と製造まで行い、消費者に直販を行うビジネスモデルです。
別名「DtoC(Direct to Consumer)」とも呼ばれ、ユニクロやZARAなどと同様の販売方式となります。
直製造直販型でネットショップを運営するメリットは、自社オリジナル製品のため、他社との競合に巻き込まれず、独自の販売戦略が確立できる点です。
デメリットは有在庫販売と同様に、商品の製造にかかる資金が必要になる点と、自社の製品が世に認知されるまで時間がかかるため、相応のプロモーション費用も覚悟する必要があります。
利益率
アパレルは「利益率が高い」「儲かる」といわれています。
経済産業省の資料によると、一般小売業の売上総利益率は「30%」程度とされていますが、アパレルでは40~70%ほどと、一般小売業と比較すると高い割合です。
▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください
業種 | 売上総利益率 |
---|---|
一般小売業 | 30% ※1 |
アパレル (メーカー、問屋からの仕入れ) |
40~50% ※2 |
アパレル (直製造→直販型) |
65~70% ※2 |
※1 参照:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syokozi/result-2/h2c6kkaj.html
※2 参照:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74773?page=4
アパレルの利益率が高いといわれる理由は、他ならぬアパレル商品の「原価率の低さ」にあります。
一般的に、アパレルの平均原価率は30%程度とされていますが、企業やブランドによってことなるため、一概にいえません。
▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください
企業名・種別 | 原価率 |
---|---|
ユニクロ (ファーストリテイリング) |
40% |
ZARA | 40% |
しまむら | 65%~68.2% |
渋谷109など安価ブランド | 15~20% |
百貨店・有名ブランド | 30~35% |
※参照:http://www.fcn.co.jp/thesis/syougyoukai200228/
大手衣料品チェーンの「しまむら」は、アパレル業界の常識をはるかに超える原価率の高さで知られており「アパレル=利益率が高いビジネス」といった思い込みは禁物です。
サイト構造
アパレルに限りませんが、ネットショップ(ECサイト)の構造は、おおよそ次のようになっています。
- ヘッダー
- サイドバー
- メインメニュー
- メインコンテンツ
ヘッダーとは、トップページの上部に表示する部分であり、通常はショップのロゴや、サイトコンセプト、サブタイトルなどを明記します。
サイドバーとは、トップページの左右どちらかに挿入する部分で、アパレルではブランド別やアイテム別など、商品を探しやすくする「カテゴリ別のリンク」を設置します。
メインメニューとは、トップページ、店舗情報、よくある質問、運営会社など、ネットショップの基本情報が書かれたWebページに飛ばすための部分です。
メインコンテンツは、トップページで最も目立つ中央部分の枠組みであり、特集やおすすめ商品など、ユーザーに最も見て欲しい情報のバナーを設置します。
次に、ネットショップのサイト構造は、全部で3つの階層に分かれています。
トップページの第一階層から該当部分のボタンをクリックし、カテゴリーページや基本情報などの第二、第三階層へとすすめていく仕組みです。
必要な資格・届け出
アパレルのネットショップを開業するのに、公的な資格や届け出は必要ありません。
しかし、取得しておくと便利で役立つ資格や、届け出を申請した方がよいものがあります。
- 古物商許可証
- 繊維製品品質管理士
- ファッションビジネス能力検定
古物商許可証
古物商許可証とは「USED品(中古品)」を扱う場合に必要な届け出となります。
古物商許可証は、中古品を扱う事業者だけが必要とみなされがちですが、実は新品でも一度第三者に渡った商品(主に消費者向け)を扱うなら、本来は取得しておかなければなりません。
古物商許可証は最寄りの警察署で、犯罪歴さえなければ誰でも取得が可能です。
新品・中古に限らず、アパレルのネットショップを始める事業者は、古物商許可証は持っておいて損のない届け出です。
繊維製品品質管理士
繊維製品品質管理士とは、通称「TES」とも呼ばれ、繊維商品の品質向上のスペシャリストであることを証明する資格です。
繊維製品品質管理士の試験は、繊維の名称や違いの知識、衣料品の企画、製造、設計方法など、ファッションビジネスの総合知識が問われます。
アパレルのネットショップでは商品の品質、素材などについて、顧客から質問を受ける機会が頻繁にありますが、運営者が質問に明確に回答できなかった場合、顧客が購入をためらってしまう可能性もあります。
顧客から何を聞かれても万全に対処できるよう、アパレルでネットショップの開業を検討している方は有益な資格といえるでしょう。
ファッションビジネス能力検定
ファッションビジネス能力検定とは、アパレル業界のマネジメント知識が問われる資格試験です。
マーケティングや生産、物流にいたるまで、アパレル業界の管理者を目指す方に向いています。
ファッションビジネス能力検定は、近年大手ファッション専門学校などでも取得をすすめているほどポピュラーな資格です。
アパレルでネットショップの開業を目指す方には、ファッションビジネス能力検定は有益な資格ですので、ぜひ取得を検討してみましょう。
心構え
アパレルのネットショップを開業する上で、必ず抑えるべき「心構え」は以下の3つです。
- 自分が好みの物を売りたい概念を捨てる
- 利益率の高さだけに捉われすぎない
- いきなり飛び級を狙わない
自分が好みの物を売りたい概念を捨てる
アパレルのネットショップを開業するのに最も重要な心構えは「自分が好みの物を売りたい概念を捨てる」ことです。
アパレルのネットショップを開業するのは、洋服好き、ファッションセンスに自信があるなどの理由から「自分好みの物を売りたい」といった願望をもっている方が多くを占めます。
しかし、アパレルのネットショップは、あくまで「ビジネス」であることを忘れてはなりません。
店主が選んだ「可愛い」「おしゃれ」な商品を販売することと、アパレルネットショップの経営がうまくいくこととは全くの別問題です。
なぜなら、アパレルとはファッション性だけでなく「衣料品」である特性をもつため、日本人の生活形態における衣料品は、防寒、体温調整、通勤、冠婚葬祭、お呼ばれなど、さまざまな用途があります。
つまり、一般の方が「おしゃれ」「可愛い」など、服に費やせる予算に限界があることを念頭にいれた上でショップ運営を行わなければなりません。
アパレルのネットショップを運営するのは、あくまでビジネスであるという自覚をもち、自身の主観や思い込みを捨て、一般の多くの方が欲するものを供給する立場にならなければ経営は成り立たないという自覚をもちましょう。
利益率の高さだけに捉われすぎない
アパレルのネットショップを開業するのに「利益率の高さ」だけに捉われすぎて、事業計画を立てることは禁物です。
たしかに、アパレル業界の原価率は他業種に比べて低めではありますが、プロパー(正規価格)消化率の低さ、在庫リスクなど、原価率が低いことと、純利益が高いことはイコールではありません。
特にアパレルのネットショップでは、近年ますます競合が激しくなっており、アパレル業界ならではの適性利益率が、以前ほど死守できなくなってきていることも念頭に入れておきましょう。
いきなり飛び級を狙わない
アパレルネットショップの運営は「いきなり飛び級を狙おうとしすぎない」意識も必要です。
たとえば、アパレル業界の未経験者がいきなり製造・企画に着手する、やみくもに在庫を増やしすぎるなど、無計画な仕入れを行うと、すぐに資金ショートし、たちまち店舗の運営が回らなくなります。
せっかく自身のショップを開業するなら、オリジナル商品のみで勝負したい気持ちになるものですが、認知度の低いオリジナル商品のみで、店舗の売上を安定させるのは容易ではありません。
ネットショップの運営は、あくまで「ビジネス」ですので、まずは既製品の販売からスタートし、ショップのファンを少しずつ増やしながらステップアップしていきましょう。
アパレルネットショップ開業8つのステップ
アパレルのネットショップを開業するには、以下8つのステップを踏まえることです。
- コンセプトを決定
- 商品の仕入れ先を確保
- ECサイトの構築方法を決定
- ささげ業務
- Web制作を開始
- 商品登録開始
- テスト販売
- オープンプロモーション
それぞれのステップを詳しく解説していきます。
【ステップ①】コンセプトを決定
アパレルのネットショップを開業するには、まず店舗のコンセプトを決定します。
コンセプトとは「概念」「方向性」であり、自身のショップを通して世の中に発信したい事をまとめることです。
アパレルのネットショップにおけるコンセプトの決定とは「〇〇なターゲット層に、〇〇な商品を届けたい」として、販売ターゲットの人物像を具体化し、ターゲットに響く商品ラインナップ、店舗イメージを完成していく工程となります。
アパレルに限らずネットショップにおいては、コンセプトの決定が最も重要ですので、時間をかけても入念に練っていきましょう。
【ステップ②】商品の仕入れ先を確保
2番目のステップは、商品の仕入れ先を確保します。
アパレルのネットショップを成功させるには、仕入れが80%以上の要素を占めるといっても過言ではありません。
ネットショップは、しばしば卓越したWeb知識があれば成功するといった見方をされることもあります。
しかし、どんな素晴らしいWebデザインのECサイトが完成しても、優れたSEO対策により上位表示されたとしても、顧客が購買を決定する要素は、商品と価格であることに変りはありません。
多くの人が納得する品質の商品を適性価格で提供するには「仕入れ」にかかっているため、事業計画を練る前に、安定供給ができる仕入れ先をいくつか確保することから始めましょう。
なお、アパレルのネットショップ向け仕入れ方法については、この後ご紹介します。
【ステップ③】ECサイトの構築方法を決定
3番目のステップは、ECサイトの構築方法を決定していきます。
スモールビジネスとして、アパレルのネットショップを構築するには、次の3つが有力な選択肢となります。
- ECモール
- ASPカート
- オープンソース
ECモール
ECモールとは、楽天市場やYahoo!ショッピング、au Payマーケットなど、大手ECショッピングモールのテナントとして出店することです。
ECモールに出店するメリットは、集客力の高さと、ネットショップに必要な機能がそろっているため、余計な手間をかけずにネットショップを即開業できる点です。
ただし、ECモールへの出店は媒体によって高額な初期、月額費用が必要であることと、モール内競合の激しさ、顧客情報を持ち出しできないなど、さまざまなデメリットもあります。
ECモールは、開業資金の予算、メリット・デメリットをよく踏まえた上で、出店を検討しましょう。
ASPカート
ASPカートとは「BASE(ベイス)」「STORES(ストアーズ)」などの、ネットショップに必要な機能が事前に全てそろっているプラットフォームサービスです。
ASPカートを使ってネットショップを構築するメリットは、Web知識が全くない方でも、低コストで自分だけのショップが即開業できる点にあります。
デメリットとしては、サービスによっては初期、月額費用がかかる、カスタマイズ性が弱いことからサイトデザインに独自性が出しにくい点です。
オープンソース
オープンソースとは、フリーライセンスのCMS(ソフトウェア)のことです。
ネットショップ向けとしては「EC-CUBE」がよく知られており、WordPress(ワードプレス)も「Welcart(ウェルカート)」というカート機能があるプラグインを使えば、SEOに強いネットショップが構築できます。
オープンソースを使ってネットショップを構築するメリットは、無料でインストールできることと、公開されているソースコードを使ってカスタマイズできる点です。
デメリットとしては、カスタマイズにはWebの専門知識が必要になることと、フリーライセンスであることから、セキュリティが弱い側面があります。
【ステップ④】ささげ業務
4番目のステップは「ささげ業務」です。
ささげ業務とは、「撮影(さつえい)、採寸(さいすん)、原稿作成(げんこうさくせい」の頭文字をとったアパレル業界用語となります。
画像撮影は、ネットショップの売上を左右する重要な要素のため、商品がよく見えるように一眼レフカメラを使って撮影することがおすすめです。
採寸は、メーカーからの提供データーを使用するのではなく、メジャーを使って正確に計測し、出品ページに記載することが求められます。
原稿作成とは、出品ページの商品説明文の作成のことであり、ユーザーが購入したくなるような魅力的な説明文を作成しましょう。
【ステップ⑤】Web制作を開始
5番目のステップは、アパレルのネットショップ構築に向けたWeb制作の開始です。
ASPカートを使う場合は、Web制作はほぼ不要でネットショップの営業を即開始できます。
ECモール、オープンソースなどを使う場合は、HTMLを用いたWeb制作業務が必須のため、自社で制作が難しい場合は、外部の業者に委託することを検討しましょう。
【ステップ⑥】商品登録開始
6番目のステップは、商品登録の開始です。
Webページがある程度完成したら、商品画像と商品説明文を入力し、商品登録を行います。
アパレルのネットショップをオープンするときには、目安として100点ほどの商品を登録させておくことが理想です。
【ステップ⑦】テスト販売
7番目のステップは、テスト販売です。
パソコン、iPhone、Androidなど、デバイスを変えて、すべての機能がきちんと正常に動くか、注文から決済機能までの動作確認を行います。
在庫、物流機能と連動させている場合も、注文時に自動的に在庫数とあっているか、物流機能が正常に動くかなども踏まえ、テストを繰り替えしましょう。
【ステップ⑧】オープンプロモーション
最後のステップは、アパレルのネットショップが完成したら、いよいよオープンプロモーションです。
ネットショップを成功に導くには、最初の3か月が肝心となります。
オープンプロモーションを企画し、1人でも多くの方にお店の存在を知ってもらいましょう。
アパレルネットショップの開業資金内訳
アパレルのネットショップを開業するのにかかる資金の内訳は、次のようになります。
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項目 | 費用相場 |
---|---|
初期費用 | |
ドメイン費用 | 100円~500円(月額) |
サーバー費用 | 0円~1,000円(月額) |
パソコン購入費用 | 3万円~20万円 |
プリンター購入費用 | 1万円~3万円 |
撮影用デジタルカメラ | 0円~5万円 |
撮影機材購入費用 | 2,000円~1万円 |
Web制作費用 | 0円~30万円 |
梱包資材費用 | 6,000円~1万円 |
小計 | 4万8,100円~60万1,500円 |
仕入れにかかる費用 (月商50~100万円時) ※有在庫の場合 |
|
商品仕入れ資金 | 50万円~100万円 |
合計 | 54万8,100円~160万1,500円 |
アパレルのネットショップで、月商50万円~月商100万円を目指すための開業資金の相場は、54万8,100円~160万1,500円ほどです。
開業費用の大半は「仕入れ資金」のため、無在庫販売で運営を開始するなら、総予算3~4万円程度でも開業自体は可能です。
初期段階は資金を使わず、少しずつ事業を広げていくなら、いきなり有在庫で開業するのでなく、無在庫販売から徐々にスタートしていく選択肢を検討しましょう。
アパレルネットショップの仕入れ方法7選
アパレルネットショップの仕入れ方法は、以下の7つが有力な選択肢となります。
- 国内メーカー・卸問屋
- 国内・海外卸サイト
- ファミリーセール
- アウトレット(国内・海外)
- 韓国・中国卸市場
- 海外メーカー
- 欧州のストックハウス
国内メーカー・卸問屋
国内メーカーや、卸問屋からの仕入れは、アパレルのネットショップで最もスタンダードな方法です。
国内メーカーや卸問屋を見つけるには、インターネット検索を利用したり、定期的に開催されるアパレルの展示会などに参加する方法もあります。
ただし、知名度の高い有名ブランド、メーカーの場合は、開業したばかりのネットショップに商品を卸してくれないケースも珍しくありません。
アパレル業界は、有力な人気商品ほど、仕入れが難しい傾向にあるため、まずは仕入れのハードルが低いブランドの商品を中心に少しずつ実績を積んでいきましょう。
国内・海外卸サイト
国内・海外の卸サイトを活用することも、アパレルのネットショップでは王道の仕入れ方法となります。
卸サイトを活用するメリットとしては、自身が仕入れ先に出向かず、ネットショップの運用が早期に開始できる点です。
卸サイトのなかには無在庫販売の対応や、画像の無償提供を行ってくれる出店者も多いため、うまく活用すれば、自身で在庫を積んだり、撮影を行う必要もありません。
ただし、卸サイトの商品は、全国の同業者も同じ商材情報を共有しているため、独自性が低く、価格競争に巻き込まれやすいデメリットも踏まえておきましょう。
ファミリーセール
ファミリーセールとは、アパレルブランドの社員、社員の家族、株主など、関係者のみを対象とした「クローズドセール」のことです。
百貨店や都心に路面店を構えるような有名ブランド、メーカーの商品が、店頭正規価格の60%~80%オフ以上で購入できるため、インターネットで出回りにくい商品を小ロットで仕入れたい人にはピッタリの選択肢となります。
ファミリーセールは、原則的に関係者以外の出入りは不可能ですが、ブランドによっては第三者に招待状を譲渡することが認められており、一般に近い人も入場できるケースがあります。
ただし、ファミリーセールの商品は、そもそもネットショップでの転売を禁じているブランド、メーカーもあるため、ファミリーセールでの仕入れには、ブランド側の規約をよく確認しましょう。
アウトレット(国内・海外)
アウトレットとは、有名百貨店ブランドや、海外有名ブランドのシーズンオフ、B級商品が、割引価格で売られている施設です。
アウトレットの多くは、都心から数10km以上離れた郊外に位置していることが多く、国内では「三井プレミアムアウトレット」などがよく知られています。
国内アウトレットの価格は、ネットショップで再販をかけられるほど割安ではありませんが、セール時期は狙い目です。
一方、海外のアウトレットには掘り出し物が多く、海外仕入れを検討している方は、欧米やアジアのアウトレット情報を探してみましょう。
韓国・中国卸市場
アパレルネットショップで安価な価格帯の商品をメインに扱う場合は、韓国、中国の卸市場を外すことはできません。
韓国はソウルの南大門、東大門市場(トンデムンいちば)が最も有名で、海外からの来訪者でも現地に訪れれば、誰でも卸価格で買えます。
中国の卸市場は、中国主要都市の全土に存在しますが、浙江省の義烏(イウ)と広東省の広州が有名です。
韓国や中国での仕入れは、慣れない内は大変ですが、自ら足を運ぶことで学べることはたくさんあります。
アパレルネットショップを運営する上での勉強も含め、ぜひ一度足を運んでみましょう。
海外メーカー
海外メーカーは、日本国内以外で商品を製造し、卸販売を行っている事業者のことです。
海外メーカーから直接仕入れるメリットは、独自性が高く、価格競争に巻き込まれにくい点となります。
しかし、メーカーによっては、高額な年間仕入れ契約の条件を提示されることも多く、スモールビジネス向きとしては、適合しないケースがあることも念頭に入れておきましょう。
欧州のストックハウス
欧州の有名ブランドや高額商品を扱う事業者には、欧州のストックハウスからの仕入れも有力な選択肢です。
欧州のストックハウスは、イタリアに多く存在し「MADE IN ITALY」のラグジュアリーブランドのキャリー商品(シーズンオフ)の買い付けが可能となります。
ただし、デメリットとしては、日本人向けサイズ、日本人が好む色展開の在庫が少ないことが多く、継続的な仕入れを行うには、現地にコネクションを作ることが必須となるでしょう。
アパレルネットショップ用おすすめ仕入れサイト6選
アパレルのネットショップ用に本気で役立つ、おすすめの仕入れサイトは以下の6つです。
- スーパーデリバリー
- TOPWHOLE(トップホール)
- エトワール海渡
- 江綿
- BUYON(バイオン)
- アリババ
スーパーデリバリー
出典:スーパーデリバリー
スーパーデリバリーとは、出展企業数3,000社近くを誇る、アパレルを中心とした卸サイトです。
スーパーデリバリーが他社の卸サイトとことなる点としては、利用者側の小売店にも審査があり、オンラインであっても素人利用が一切できないシステムになっています。
出展者も厳正な審査を通過した企業ばかりのため、卸サイトとしての質の高さに定評があります。
TOPWHOLE(トップホール)
TOPWHOLE(トップホール)とは、東の繊維問屋街・東京・馬喰町にある、株式会社BLEAFが運営するアパレル専門卸サイトです。
商品ラインナップは、韓流レディースファッションが主体ですが、日本企業のプロデユースらしく、品質、画像共に申し分ないクオリティとなっています。
1点からでも注文が可能なため、小資本でアパレルのネットショップを開業したい方にぴったりの卸サイトです。
エトワール海渡
出典:エトワール海渡
エトワール海渡とは、昭和の時代から長年続く、アパレルを中心とした老舗の総合卸問屋です。
エトワール海渡の強みは、オンラインのみでなく、ショールームで現物を確認できるため、品質や生地も含め、ユーザーに自信をもってすすめられる買い付けが可能となっています。
江綿
出典:江綿
江綿(ごうめん)は、繊維問屋街として有名な大阪の船場、東京の馬喰町にそれぞれ拠点を構える衣料品を中心とした老舗の総合卸問屋です。
江綿は製品だけでなく、テキスタイル(生地)の仕入れも可能なため、自身でオリジナル製品を製作しようとお考えの方にも、活用の場が広がります。
BUYON(バイオン)
出典:BUYON
BUYON(バイオン)とは、オンラインで韓国の南大門・東大門市場(トンデムンいちば)の卸問屋から直接商品を仕入れることができる仕入れサイトです。
BUYONは、日本市場向けにマッチしやすい商品が軒を連ねており、さまざまな問屋から商品を集め、荷物を梱包し、一括で日本向けの発送も代行してくれます。
BUYONの利用には、月額が必要になりますが、仕入れ額が増えるほど割安になる仕組みのため、韓国からの仕入れをメインにするのであれば、ぜひ活用したいサイトです。
アリババ
出典:アリババ
アリババとは、中国のBtoB向けECサイトです。
出展者の多くは中国の工場、メーカーが軒を連ねており、中国現地の価格で商品の仕入れが可能になっています。
ただし、中国の工場やメーカーから直接仕入れることは、トラブルも多く付きまとうため、利用に際しては、日系の代行業者をうまく活用するのをおすすめします。
アパレルネットショップ成功・失敗事例
アパレル業界で未経験からネットショップに参入し、実際に成功した事例、失敗した事例をそれぞれご紹介します。
韓流キッズ&ママファッション店の成功例
A子さんは、自身のショップで韓流キッズ&ママファッションを扱っており、3児の育児の傍ら、運用歴2年半で月商60~70万円をコンスタントに売り上げることに成功しています。
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項目 | 記述内容 |
---|---|
職業・年齢 | 主婦A子さん(33歳) 3児のママ |
アパレル経験 | 未経験 |
開業の動機 | ・子供の塾代を稼ぎたい ・在宅で収入アップを目指したい |
ネットショップ運用歴 | 約2年半 |
現在の月商 | 60~70万円 |
開業資金 | 30万円 |
出店形式 | Instagram+BASE |
商品ジャンル | 韓流キッズ&ママファッション |
主な仕入れ先 | 韓国東大門(直接仕入れ) 中国卸サイト(代行業者使用) |
アパレル業界未経験のA子さんが、ネットショップの運営に成功できた理由は、以下の3つです。
- 開業前から相当数のインスタ・フォロワーを保有
- フォロワーの需要に沿った商品を提供する方式
- 小資本・小リスクで運用
A子さんはネットショップ開業前から子育てや、キッズファッションの情報交換をInstagramのフォロワーと行っており、フォロワーが欲する商品の傾向を熟知していました。
A子さんのショップは、BASEとInstagramを連動させただけの簡素なECサイトですが、フォロワーの「買い物代行」のような位置づけで、資金を使わず、小リスク、小ランニングコストでの運用に成功しています。
また、A子さんから商品を購入したフォロワーが、商品画像をInstagramでアップしてくれるなど、会員同士の交流が盛んなことから、新たなママ友フォロワーからの問合せや注文も増え続けています。
無理をせず、小リスクで着実に事業を伸ばせたことが功を奏したといえます。
韓流レディースファッション店の失敗例
Bさんは、リサイクルグッズのネット販売から、アパレルジャンルに参入した、小さな法人の代表者です。
▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください
項目 | 記述内容 |
---|---|
職業・年齢 | 会社代表者Bさん(42歳) リサイクルグッズのネット販売 |
アパレル経験 | 未経験 |
開業の動機 | ・現店舗の売上が厳しい ・アパレルは利益率が高いと聞いた ・アパレル業界に熟知した人材が入社 |
ネットショップ運用歴 | 6年 |
現在の月商 | 3万円 |
開業資金 | 150万円 |
出店形式 | 楽天市場 |
商品ジャンル | 韓流レディースファッション |
主な仕入れ先 | 中国卸サイト(代行業者使用) |
Bさんがアパレルネットショップの運営に失敗した理由は、以下の3つです。
- 現状からの苦肉の策で参入
- 実店舗とネットの特性を誤解
- 仕入れ・事業計画の甘さ
Bさんは、楽天市場の運用歴を6年ありますが、現サイトの売上が芳しくなく、翌年の楽天市場の店舗契約更新を悩んでいる状態にあり、苦肉の策でアパレルジャンルへの参入を決意しました。
しかし、楽天市場でもレディースアパレル部門は、出店店舗数が最も多いジャンルであり、何らかの優位性、独自性がなければ競合他社に勝つことは容易ではありません。
Bさんはメインスタッフとして、大手アパレルブランドの実店舗の販売員として長年実績のあるスタッフを投入しますが、実店舗とネットショップの運用は似て非なる部分がたくさんあります。
Bさんの事業、仕入れ計画が確立されていなかった背景も重なり、アパレル業界のネットショップへの参入は、残念ながら失敗に終わる結果となったのです。
まとめ
今回は、アパレルのネットショップを開業する手順・資金・仕入れ方法などを、プロの視点からお話させて頂きました。
まとめますと、アパレルのネットショップを開業するにあたり、知っておくべき基礎知識は以下の5つです。
- ビジネスモデル
- 利益率
- サイト構造
- 必要な資格・届け出
- 心構え
アパレルのネットショップを開業するには、以下8つのステップを踏まえることです。
- コンセプトを決定
- 商品の仕入れ先を確保
- ECサイトの構築方法を決定
- ささげ業務
- Web制作を開始
- 商品登録開始
- テスト販売
- オープンプロモーション
アパレルのネットショップで月商50万円~月商100万円を目指すための開業資金の相場は、 54万8,100円~160万1,500円ほどです。
アパレルのネットショップで商品を仕入れる方法は、以下7つが有力な選択肢となります。
- 国内メーカー・卸問屋
- 国内・海外卸サイト
- ファミリーセール
- アウトレット(国内・海外)
- 韓国・中国卸市場
- 海外メーカー
- 欧州のストックハウス
アパレルのネットショップ用に本気で役立つ、おすすめの仕入れサイトは以下の6つです。
- スーパーデリバリー
- TOPWHOLE(トップホール)
- エトワール海渡
- 江綿
- BUYON(バイオン)
- アリババ
アパレルのネットショップを開業するのは、傍から見る「華やか」「楽しそう」なイメージよりも、地道なリサーチと、細かい作業の繰り返しとなります。
ただし、人類に衣服が必須である以上、アパレルビジネスは、現在も将来においても常に需要がなくならないことも事実です。
アパレルのネットショップで成功するのは容易ではありませんが、容易ではないからこそ成功を手にした時の喜びもひとしおです。
今回のコラム記事でご紹介した内容を参考に、着実な事業計画、仕入れ計画に基づき、アパレルのネットショップで運用を成功させましょう。
また、当サイト「ビズサイ」では、サブスクリプション型のECサイト制作サービスを提供しています。
ビズサイでは、豊富なオプションサービスから、ご希望の機能を備えたECサイトの制作も可能です。
ランニングコストを抑えてアパレルのネットショップを開設したい方は、ビズサイのECサイト制作サービスがピッタリです(詳しいサービスはこちら)。
まずは無料でご相談ください。
お問い合わせ・ご相談や、公開後の修正依頼などに関しては、いずれかの方法にてお問い合わせください。
※年末年始・土日祝は定休日となります
※受付時間 9:00~17:30