ページエクスペリエンスとは?【Googleが重視するランキング要因】
2020年5月ごろにGoogleがページエクスペリエンスアップデートを発表してから「ページエクスペリエンス」について、正しく理解したいという方が増えています。
『Googleが提供しているWebページを見てみたけど、専門用語が多く内容を理解できない』
と感じる方も少なくないはずです。
今回は、
『ページエクスペリエンスとは?』
『ランキング要因の新たな指標について学びたい』
『今回のアップデートの内容を知りたい』
『ページエクスペリエンスの対策方法を知りたい』
などを思っている方に向けたコラム記事となっています。
ページエクスペリエンスや今回のアップデートの情報を正確に理解することで、ご自身のWebサイトのSEO対策につながりますので、ぜひ参考にしてみてください。
ページエクスペリエンスとは?
ページエクスペリエンスとは「Webページのユーザー体験」を指し、コンテンツ情報以外の価値(ユーザー体験)のことです。
ページ エクスペリエンスとは、ユーザーがウェブページで操作を行った際の、情報そのものの価値以外に関するエクスペリエンスの尺度となるシグナルのセットです。これには、ウェブに関する主な指標(ページの読み込みパフォーマンス、インタラクティブ性、視覚的安定性に関する実際のユーザー エクスペリエンスを測定する指標のセット)が含まれます。また、モバイル フレンドリー、HTTPS、煩わしいインタースティシャルに関するガイドラインといった既存の検索シグナルも、これに含まれます。
Webページのユーザー体験の指標(ページエクスペリエンスシグナル)には、以下の6つあります。
- LCP(読み込み時間)
- FID(インタラクティブ性)
- CLS(ページコンテンツの視覚的な安全性)
- モバイルフレンドリー
- HTTPS
- 煩わしいインタースティシャル
※ページエクスペリエンスの「セーフブラウジング」はランキングシグナルから外されました
LCP・FID・CLSの3つのシグナルは総称して「ウェブに関する主な指標」や「コアウェブバイタル(Core Web Vitals)」と呼ばれています。
Googleは、今までもページエクスペリエンスをよくするために、さまざまなウェブバイタル(Web Vitals)の指標やツールを提供しています。
そして、ウェブバイタルのなかでも特に重要な核(Core)となる指標がコアウェブバイタルとされています。
コアウェブバイタルに加えて、今までの検索順位のランキング要素である「モバイルフレンドリー」「HTTPS」「煩わしいインタースティシャル」の4つと合わせて、新たなWebページのユーザー体験の指標(ページエクスペリエンスシグナル)となりました。
ページエクスペリエンスアップデートのスケジュール
当初、Googleでは2021年5月にページエクスペリエンスアップデートを開始する予定していましたが、6月中旬に延期となりました。
その後、2021年6月16日「Google検索セントラル」の公式Twitterにページエクスペリエンスアップデートが開始したと告知しています。
ページエクスペリエンスアップデートは段階的にGoogle検索に反映されます。
The page experience rollout is complete now, including updates to Top Stories mobile carousel. Changes to Google News app have started to rollout as well and will be complete in a week or so.
— Google Search Central (@googlesearchc) September 2, 2021
2021年9月3日には「Google検索セントラル」の公式Twitter でページエクスペリエンスアップデートが完了したと述べています。
ページエクスペリエンス6つのシグナル
ページエクスペリエンスの6つのシグナルの内容について、くわしく解説していきます。
ページエクスペリエンスの6つのシグナルは、検索順位の上位表示を決定するランキング要因に含まれているので、正確に理解してご自身のWebサイトに取り入れましょう。
コアウェブバイタル【LCP/FID/CLS】
コアウェブバイタル(Core Web Vitals)には、3つの指標があります。
- LCP
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LCP(Largest Contentful Paint)は「読み込み時間」の指標です。
「最大コンテンツの描画」を意味するLCPは、Webサイトの最上部にあるメインコンテンツ(画像・動画・テキストなど)が読み込まれる時間を表しており、この時間が短いほど評価されます。
- FID
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FID(First Input Delay)は「インタラクティブ性」の指標です。
「初回入力遅延」を意味するFIDは、Webページで初めておこなう操作にブラウザ側が応答するまでの時間を表しており、この時間が短いほど評価されます。
- CLS
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CLS(Cumulative Layout Shift)は「ページコンテンツの視覚的な安全性」の指標です。
「累積レイアウト変更」を意味するCLSは、Webページ上で操作をおこなう際に予期しないページレイアウトの動きがどのくらいあるかを表しており、その動き(ズレ)が少ないほど評価されます。
モバイルフレンドリー
モバイルフレンドリーとは、モバイル(スマートフォン)の画面でも快適にWebサイトを利用できるかの指標です。
近年では、インターネットをパソコンよりもスマートフォンで利用する人が多いため、モバイル検索で検索順位のランキング要因として2015年4月から導入されています。
また、Googleは2018年3月から検索順位を決めるための評価をパソコンのWebサイトからスマートフォンのWebサイトを基準とする「モバイルファーストインデックス」を発表しています。
モバイルユーザーの割合が多い現代で「モバイルフレンドリー」は必須ですので、ページエクスペリエンスの向上を目指して改善をおこなう必要があります。
セーフブラウジング
更新情報
セーフブラウジングは、2021年8月4日に行われたページエクスペリエンスの更新によって、ランキングシグナルから外されました。
セーフブラウジングとは、安全ではないWebサイトを特定し、ユーザーやWebサイト管理者に対象のWebサイトの有害性を知らせるためのサービスです。
安全ではないWebサイトとは、マルウェアなどの不正なソフトウェアをインストールさせるWebサイトや、ユーザー情報を不正に入手するフィッシングサイトなどを指します。
健全にWebサイトの運営をおこなっていれば、セーフブラウジングで指摘されることはまずありません。
万が一、安全ではないWebサイトであると判断された場合は、Webサイト管理者のメールアドレスに問題の診断と解決に向けてのメール通知が届くので、通知内容に従い改善しましょう。
HTTPS
HTTPSとは「Hypertext Transfer Protocol Secure」のことで、HTTP通信を安全におこなうためのプロトコルです。
HTTPからHTTPSにすることを「SSL化」とよび、ブラウザとWebサーバー間の信号を暗号化して安全に通信できるようになります。
特にユーザーの名前・住所・連絡先・メールアドレス・クレジットカード情報など、個人情報を扱うWebサイト(ネットショッピングなど)では安全な通信環境が必要です。
SSL化されていないURLは、ソフトウェアなどを用いて簡単に通信内容の解析ができるので、悪意のある第三者に個人情報が収集されるリスクを伴います。
また、HTTPSのWebサイトの中にHTTPで呼び出されるコンテンツが含まれる「混合コンテンツ」は、Google Chromeで表示されない問題があります。
混合コンテンツは画像や動画、HTMLデータなども含まれるため、既存のWebサイトをSSL化するときは注意しておこないましょう。
No Intrusive Interstitials
No Intrusive Interstitialsとは、煩わしいインタースティシャルによるモバイルユーザーのユーザーエクスペリエンスの指標です。
煩わしいインタースティシャルとは、モバイル画面に表示されたコンテンツの上から覆うように表示されるポップアップ広告などを指します。
煩わしいインタースティシャルと判断される原因は、表示されるインタースティシャルが必要以上に動く、必要以上にサイズが大きいなど、ユーザーの操作を阻害するためです。
しかし、コンテンツの上から覆うすべてのインタースティシャルが規制されるわけではありません。
以下に紹介するインタースティシャルは指標の規制を受けない例です。
- Cookieの使用や年齢確認など、法的義務に応じてインタースティシャルを表示する場合
- 会員限定の非公開コンテンツのためログインダイヤログを表示するなどの場合
- モバイル画面に対して妥当と思われるサイズで簡単に閉じられるバーナーを表示する場合
以上の例のようなインタースティシャルを必要とする場合は、ユーザーエクスペリエンスに細心の注意を払いながら設置しましょう。
ページエクスペリエンスアップデートの内容
ここからは、2021年6月16日に開始されたページエクスペリエンスアップデートの内容をご紹介していきます。
モバイル検索
今回、2021年6月中旬に開始されたページエクスペリエンスアップデートでは「モバイル検索」が対象となります。
しかし、2021年にGoogleが開発者向け会議「Google I/O」の「ページ エクスペリエンス ランキングに向けた準備」で、PC検索に対してもページエクスペリエンスアップデートを対象にすると述べています。
PC検索に対してのページエクスペリエンスアップデートの時期は未定のことです。
トップストーリーカルーセル掲載基準の削除
今までは、ニュースサイトなどへのWebページの掲載(トップストーリーカルーセル掲載)にAMP対応が必要でしたが、今回のページエクスペリエンスアップデートで掲載基準から削除されます。
今後は表示速度が十分にある使い勝手の良いWebページで「Googleニュースコンテンツポリシー」に則っていることがトップストーリーカルーセルの掲載基準となります。
ページエクスペリエンスシグナルに新たに追加されたコアウェブバイタルのスコアは、トップニュースの掲載基準ではありませんが、ランキング要因ではあるため掲載される位置に影響を及ぼすことになるでしょう。
トップストーリーカルーセルの掲載基準からAMP対応は削除されましたが、AMPはユーザーエクスペリエンスの向上につながることに変わりはないので、モバイルの表示速度を改善したい方はAMP対応の検討をするといいでしょう。
ページ単位での評価
ページエクスペリエンスアップデートは、基本的にページ単位で評価されるようです。
ページ エクスペリエンスは URL 単位で評価されます。
ページエクスペリエンスアップデートの期間中(2021年6月中旬~8月末)は、検索順位の変動が起こる可能性があるので、検索順位に注視していきましょう。
コアウェブバイタルがランキング要因に追加
今回のページエクスペリエンスアップデートの最重要テーマは、Googleが検索順位のランキング要因の指標としてコアウェブバイタルを追加したことです。
そして、コアウェブバイタルがどのくらいランキングに影響を及ぼすのか気になる方も多いでしょう。
Googleウェブマスター向け公式ブログでは、コアウェブバイタルが検索順位に与える影響を以下のように述べています。
ページ エクスペリエンスの構成要素はすべて重要ですが、ランキングでは、ページ エクスペリエンスの一部の要素が平均以下であっても、総合的に優れた情報を含むページが優先されます。優れたページ エクスペリエンスが関連性の高い優れたコンテンツに勝ることはありません。しかし、同様のコンテンツを含むページが複数ある場合は、ページ エクスペリエンスが検索ランキングで非常に重要になります。
コアウェブバイタルが検索順位に与える影響は、高品質のコンテンツ同士がコアウェブバイタルのスコアにより検索順位で差がでる程度のようです。
つまり、ページエクスペリエンスアップデート後も「コンテンツ」が検索順位で最も重要といえます。
しかし、高品質のコンテンツでも表示速度が遅くて利用しにくいWebページの場合、Webページから離脱される可能性があるので、コアウェブバイタル対策をしないわけにはいきません。
コンテンツの作成・改善に加えてコアウェブバイタルの改善にも注力しましょう。
Signed ExchangeをGoogle検索の全コンテンツでサポート
Signed Exchange(SXG)は、非営利団体のW3CがWeb Packaging(ウェブパッケージ)として開発した技術です。
Web Packagingは、WebページとCSS・JavaScriptなどのリソースを1つにまとめることで、今まで実現できなかった様々な配信が可能になります。
Web Packagingは、Googleのキャッシュサーバーが自身のWebサイトのキャッシュを配信することで、表示速度や応答速度を短縮できます。
また、オフラインでもダウンロードしたWebサイトを安全に閲覧できるなど、さまざまなケースが期待されています。
Googleは、これからWeb Packagingを利用した機能をリリースしていく予定なので、必ず情報を押さえておくべきです。
ポイント!
Google検索でSigned Exchange(SXG)を実装する内容については、Googleの公式サイトをご覧ください。
・Google 検索で Signed Exchange の利用を開始する
・Signed Exchanges (SXGs)
ページエクスペリエンスレポートの導入
Googleサーチコンソールで導入されたページエクスペリエンスレポートは、2020年5月ごろから既に導入されていたレポートです。
出典:Google Search Console
このレポートでは、ページエクスペリエンスの各シグナルを全体的にみることができます。
▼スマホの場合は横にスクロールしてご覧ください
項目 | 概要 |
---|---|
ウェブに関する主な指標 | コアウェブバイタル3つの指標(LCP・FID・CLS) の各スコアが分かるレポート |
モバイルユーザビリティ | Webサイトがスマートフォン対応かどうかを確認できるレポート |
セキュリティの問題 | ・ハッキングされたコンテンツ ・マルウェアや望ましくないソフトウェア ・ソーシャル エンジニアリング などWebサイトがセキュリティ上、問題あるかどうかを確認できる |
HTTPS | Webサイト全体がSSL化(常時SSL化)されているかどうか |
Googleサーチコンソールのページエクスペリエンスレポートを参考に、ページエクスペリエンスの改善を行うことができます。
まとめ
ページエクスペリエンスについて解説しました。
今回のコラム記事の内容をまとめると、以下になります。
- ページエクスペリエンスとは「Webページのユーザー体験」
- ページエクスペリエンスシグナルは「コアウェブバイタル」「モバイルフレンドリー」「HTTPS」「煩わしいインタースティシャル」
- 新たなシグナル「コアウェブバイタル」はユーザー体験の向上に最重要な指標
- コアウェブバイタルはランキング要因であるが高品質コンテンツに勝ることはない
2021年6月16日にページエクスペリエンスアップデートが開始され、段階的にGoogle検索に反映されていきました。
その後、2021年9月3日にGoogleの公式Twitterでページエクスペリエンスアップデートが完了したと述べています。
現在のページエクスペリエンスは、ランキングシグナル(検索順位決めの指標)にそこまで影響は少ないと言われていますが、将来的にランキングシグナルが重要視される可能性も低くはありません。
今回のコラム記事を参考に、ご自身のWebサイトでページエクスペリエンスの各シグナルを確認していきましょう。
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