ホームページ制作の提案依頼書の書き方【担当者必見】
会社のホームページを新規開設したりリニューアルをする際には、専門の制作会社(フリーランス・個人事業主)に依頼をするという選択肢があります。
外注先にホームページ制作の依頼をする場合、依頼者が外注先に対して「提案依頼書(RFP)」を作成します。
提案依頼書は、外注先に質の高い提案をしてもらったり、外注先とのトラブルを減らせるなど、依頼者と外注先の双方にメリットがあります。
ただし、提案依頼書のやり取りは主にシステム開発を行うIT企業の間で行われているため、初心者がいきなり提案依頼書の作成をするのは難しいと考えます。
『ITの専門知識がない者でも書ける提案依頼書の作成方法を知りたい』
と考えている方もいらっしゃるとかと思います。
今回のコラム記事では、外注先にホームページ制作の依頼をしようと決めている会社の担当様に向けて、再現性のある提案依頼書の書き方・作成方法を解説しています。
提案依頼書の構成・書き方
それでは、提案依頼書の書き方をご紹介していきます。
今回の提案依頼書では、大きく分けて5つの構成になります。
- 本資料の目的
- プロジェクト概要
- 提案依頼の内容
- ホームページやシステム機能の要件・要望
- その他(補足情報)
なお、今回のコラム記事を執筆するにあたり、サンプルとなる会社(依頼者)を用意しました。
概要は以下の通りです。
会社名:株式会社ドーテック
業態:宿泊業
目的:旅館施設を新たに開業するため、自社のホームページ経由で求職希望者(転職)からの問い合わせを増やしたい
資本金:1,500万円
売上高:9億3,500万円(2020年3月期)
従業員:73人
所在地:北海道小樽市
※会社名やプロジェクト内容は架空のものです
上記サンプルを例に、提案依頼書の構成や各項目をご紹介していきます。
1.本資料の目的
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まずは、表紙に会社名やプロジェクト名、提案依頼書(RFP)を記載しましょう。
表紙の下部には、本資料(提案依頼書)を作成した目的を記載しましょう。
2.プロジェクト概要
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今回のプロジェクトの概要をまとめています。
構成「プロジェクト概要」の項目は、全部で9点あります(以下の通りです)。
- 2-1.背景・課題
-
プロジェクトを始動(ホームページをリニューアル)するに至ったきっかけや、ホームページの課題などを記載しましょう。
また、ホームページにおける課題以外にも、会社の事業における課題なども挙げるといいでしょう。
- 2-2.目的・目標
-
プロジェクトの目的や目標を記載しましょう。
目的では、今回のプロジェクト(ホームページリニューアル)で何をしたいのかを記載しましょう。
目標では、今回のプロジェクト(ホームページリニューアル)における最終目標(KGI)と中間目標(KPI)の設定、具体的な数値を提案してほしいと記載するといいでしょう。
- 2-3.URL
-
公開中のホームページURLを記載しましょう。
- 2-4.予算
-
今回のプロジェクトにかかる予算の上限を記載しましょう。
「予算は50万円~70万円の間」などの曖昧な表現をするのではなく「予算70万円まで」など具体的な予算額を提示することで、外注先が優先順位を付けて最大限できることを依頼者側に提案してくれるはずです。
- 2-5.納期スケジュール
-
プロジェクトの希望納期日を具体的に記載しましょう。
「今年まで」「なるべく早く」などの曖昧な表現をするのではなく、
「今年の12月1日に公開させたいので、事前確認などを含めると11月27日までにホームページの公開を希望」
と具体的に希望日を伝えると、外注先が最適なスケジュールを提案してくれるはずです。
- 2-6.会社情報・事業内容
-
会社情報(社員数・資本金・売上高・組織図・住所など)や事業内容(商品やサービス)を記載しましょう。
会社情報や事業内容などは、箇条書きにすると視覚的に分かりやすいでしょう。
自社のパンフレットがあれば、提案依頼書と一緒にセットで用意しておくと、外注先もスムーズに自社の情報を理解してもらえます。
- 2-7.USP
-
自社のUSP(強み・独自性)を記載しましょう。
USPは簡単にいうと「自社の商品やサービスがもっている独自の強み」のことです。
USPを見込み顧客に訴求できれば、競合他社と差別化をすることも可能でしょう。
- 2-8.ターゲット
-
ホームページにおけるターゲット層を記載しましょう。
年齢や性別、属性などを記載して、より詳細なプロフィールである「ペルソナ」の設定については、外注先に提案してもらうように依頼するといいでしょう。
- 2-9.競合他社
-
自社の事業における競合他社を記載しましょう。
外注先では、見積書や提案の内容を考えるときに競合他社の分析をしていることが多いです。
3.提案依頼の内容
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ホームページ制作の依頼者側(あなた)が外注先に提案してほしい情報をまとめます。
構成「提案依頼の内容」の項目は、全部で10点あります(以下の通りです)。
- 3-1.プロジェクトの範囲
-
提案してほしい範囲を記載します。
今回のプロジェクトで提案依頼してほしい範囲を明確化させることで、外注先にしっかりと伝えることができます。
- 3-2.目標(KGI・KPI)
-
今回のプロジェクトにおける最終目標(KGI)と毎月の中間目標(KPI)、実現するための施策を提案依頼します。
- 3-3.キーワード・ターゲット
-
ホームページをSEO対策していく上で、検索キーワードとターゲットの提案依頼をします。
- 3-4.サイトマップ
-
リニューアル後のサイトマップ(サイト構成図)の提案依頼をします。
- 3-5.デザイン案
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新しい・既存のページのデザイン案を提案依頼します。
- 3-6.コンテンツ案
-
どういったコンテンツでホームページを集客していくのか提案依頼をします。
- 3-7.運用
-
プロジェクト完了後のホームページ運用について提案依頼をします。
ホームページ運用とは、主にホームページの目的・目標を達成するための作業になります。
- 3-8.成果物
-
成果物を具体的に明示してもらうよう提案依頼をします。
成果物の提出のタイミング(契約後・納品後など)はいつか、どういったドキュメントで提出してもらえるのか、など具体的に記載するといいでしょう。
特定の成果物が決まっていれば指定をしてもいいでしょう(コンテンツ一式、ホームページの仕様書、業務フローのスケジュール、システムの操作マニュアル、など)。
- 3-9.見積書
-
プロジェクトの各工程で、どのくらいの費用がかかるのか見積書に細かく内訳を書いてもらうように提案依頼をします。
- 3-10.貴社の体制
-
貴社側(外注先)で、今回のプロジェクト担当者や制作・開発の体制について提案依頼をします。
プロジェクトによって提案依頼の内容が異なると思います。
今回ご紹介した「提案依頼の内容」を参考に追加・削除をしてみてください。
4.ホームページやシステム機能の要件・要望
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ホームページやシステム機能などの要件や要望をまとめます。
構成「ホームページやシステム機能の要件・要望」の項目は、全部で7点あります(以下の通りです)。
- 4-1.ページ数(概算)
-
想定するページ数を記載します。
ページ数によって見積もりの費用がことなります。
概算でもいいのでページ数を記載しましょう。 - 4-2.ページ一覧
-
必要なページ一覧を記載します。
ページ一はSEO=集客に影響するので、挙げたページで改善点があれば提案してもらうように依頼をするといいでしょう。
- 4-3.運用管理を要望するページ
-
依頼者側が更新や投稿をしたいページがあれば記載をしましょう。
各ページを運用管理したい理由や用途などを合わせて記載するといいでしょう。
- 4-4.更新・投稿機能
-
運用管理を要望するページに何か機能がほしければ、その旨を記載しましょう。
- 4-5.管理・保守
-
依頼者と外注先のどちらがホームページの管理・保守をするのか記載をします。
ホームページの管理・保守の内容を具体的にあげると以下になります。
- 問い合わせ対応
- トラブル対応(ホームページの閲覧できない・更新できない、などの対応)
- ドメイン・サーバーの管理
- CMSのメンテナンス
ホームページの管理・保守は、どの範囲まで外注先に依頼するのかを決めておくと、その後の外注先とのトラブルを少なくすることができます。
- 4-6.レスポンシブデザイン対応
-
現在のホームページは、レスポンシブデザイン対応しているのが当たり前です。
レスポンシブデザインとは、PCやスマートフォン、タブレットなど異なる画面のサイズでも見やすく調整して、最適に表示してくれることを指します。
レスポンシブデザインは、Googleが推奨していて、ユーザーの利便性を考えるとレスポンシブデザイン対応のホームページにすべきです。
- 4-7.指導
-
システム(ホームページ)に関する、操作方法をマニュアルで指導を要望する場合に記載しましょう。
今回、構成「ホームページやシステム機能の要件・要望」でご紹介した項目以外にも、
- メール配信機能がほしい
- 会員登録機能・ログイン機能がほしい
- スマホ決済をしたい
など、ホームページの内容によって、ホームページやシステム機能の要望が異なるので、新たに項目を追加するといいでしょう。
5.その他(補足情報)
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その他、何か補足情報があれば記載をしましょう。
今回のプロジェクト(例)では、ホームページのリニューアルなので、すでに公開しているリニューアル前のホームページ内のコンテンツやドメイン、サーバーなどについて記載をしています。
- 5-1.素材・コンテンツの用意
-
ホームページ内に使用している原稿(テキスト)や素材(画像・イラスト・動画・音声・SE)などは、依頼者側と外注先のどちらが用意するのか記載しておきましょう。
誰が素材・コンテンツを用意するかによって、見積書の費用や工数が変わってきます。
- 5-2.デザイン(ロゴ)
-
現在公開中のホームページで使用しているデザイン(ロゴ)について記載をします。
デザインについて情報を記載をするときには、以下の要点を確認しましょう。
- ロゴは既存のものを使用するのか、新たにロゴを作成するのか
- 新たにロゴを作成をする場合、外注先にロゴの作成依頼をするのか
- 5-3.ドメイン
-
現在公開中のホームページで使用しているドメイン(URL)について記載をします。
ドメインについて情報を記載をするときには、以下の要点を確認しましょう。
- ドメインは既存のものを使用するのか、新たにドメイン取得をするのか
- 新たにドメイン取得をする場合、依頼者側と外注先のどちらがドメインの用意をするのか
- ドメインの管理・保守は依頼者側か外注先のどちらが行うのか
- 5-4.サーバー
-
現在公開中のホームページで使用しているサーバーについて記載をします。
サーバーについて情報を記載をするときには、以下の要点を確認しましょう。
- サーバーは既存のものを使用するのか、新たにサーバー契約をするのか
- 新たにサーバー契約をする場合、依頼者側と外注先のどちらがサーバーの用意をするのか
- サーバーの管理・保守は依頼者側か外注先のどちらが行うのか
- 5-5.SSL
-
現在公開中のホームページで使用しているSSL(https)について記載をします。
SSLとは、暗号化された通信形式です。
ホームページを非SSL(http)からSSL(https)にさせるのは、セキュリティやSEOの観点から設定をすべきです。SSLについては、以下の要点を確認しましょう。
- SSL証明書は既存のものを使用するのか、新たにSSL証明書を取得するのか
- 新たにSSL証明書を取得する場合、依頼者側と外注先のどちらがSSL証明書の用意をするのか
- SSL証明書の管理・保守は依頼者側か外注先のどちらが行うのか
- 5-6.アクセス解析
-
現在利用しているアクセス解析ツールのことや、指定のアクセス解析ツールがあれば記載しましょう。
基本的に「Googleアナリティクス」や「Googleサーチコンソール」などのアクセス解析ツールがあれば問題ないでしょう。
- 5-7.CMS
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CMSでホームページを構築したい場合には、記載をしましょう。
CMSとはコンテンツ・マネジメント・システムの略で、HTMLやCSSなどの専門知識がなくても、ホームページの管理・更新することができるシステムのことです。
外注先に、CMSの提案依頼をしてもらうのもいいでしょう。
- 5-8.自社の体制
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今回のプロジェクトにかかわる依頼者側(自社)のメンバーについて記載をします。
- 5-9.支払い
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ホームページの制作依頼にかかる費用の「支払い方法」や「支払うタイミング」などを記載します。
外注先によって支払い方針が異なるので、あくまで希望を伝えておきましょう。
関連記事
外注先に素材やコンテンツ、ロゴなどの作成・用意をしてもらう場合には「著作権」に注意しましょう。
ホームページ内のコンテンツの使用方法によっては、著作権侵害の恐れがあります。
くわしくは、以下のコラム記事をご覧ください。
まとめ
提案依頼書の書き方について解説をしました。
提案依頼書の構成・流れをまとめると以下の通りです。
- 提案依頼書を作成する目的(表紙)
- 今回のプロジェクトの概要
- 外注先に提案依頼してほしいこと
- ホームページやシステム機能で実現を要望
- その他、外注先に伝えておきたいこと
提案依頼書は必要条件が明確化していて、できる限り正確な情報が網羅的にまとめておくことで、提案依頼書としての効果が発揮されます。
外注先にホームページ制作の依頼をするときには、今回のコラム記事を参考になさって、提案依頼書の作成をしましょう。
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